ポップと水玉

河内カルメンのポップと水玉のレビュー・感想・評価

河内カルメン(1966年製作の映画)
5.0
野川由美子サイコーなんじゃあああああ。あの表情の強さ美しさよ!

カット割りは清順にしては標準的。わかりやすく誰でも楽しめる。仰角ショットが多いのだか、連れ込み宿で斜めに鏡を据えることで仰角っぽく見えるシーンがあってすげえと思った。そのあとの姿見クルクルーも面白い。おっさんとの同棲生活は、アパートの二間を縦に撮っていて特徴的。別れるときに一度だけ、真横から部屋を跨いでカメラが横移動するショットがある。次に住んだデザイナーの家では、突然のセットとスポットライトに笑った。こんなふうに好き放題やっちゃうところが清順やなと。コマ送りを使って効率的に激情を表現したり、滝に落ちるシーンでも、滑ったとことドボンしたとこだけを繋げて、後から妄想で落ちる過程を見せたり、あの手この手で楽しませてくれる。よくこれだけアイデアが浮かぶなーと感心しっぱなし。AV撮影の時に次々人が来て舞台を作っていくあたりは、夢二のワンシーンを思い出した。手前に物を置いて画面を区切ってる画が多いのも特徴だろうか。最初から最後までいろいろとパンチ強めなんですが、一番好きなのは傘を差しながら風呂に入ってるところですね。ケレン味とエンタメ性が合わさった、清順入門にも最適な傑作!