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マザーレイクのkomaのネタバレレビュー・内容・結末

マザーレイク(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

滋賀が好きだから。
沖島が好きだから。
とりあえずそこから見始め。
だからと言って見るのは一つの作品として。
なかなか他の作品にはない地元ネタを露骨に仮想の名を使わずに地元にこだわって作られている。人も滋賀。明らかにそのままの滋賀をPRしようとする意図がある。それをするからには美しく、よい印象を与えなければという覚悟も込められている。
 

そして琵琶湖と竜の伝説というフィクションをそのまま描くのではなく、夢のメタファーとしての竜を分かりやすく用いている。映像を作るという構造もメタ構造として作り手の思いが直接伝わっているような構成。

題名の通りマザーは湖ということであえて家族の母の不在、父も大黒柱ではない。是枝作品とは似ていながらもきちんとした滋賀らしいものになっている印象。
 それを琵琶湖に置き換え、琵琶湖ネタに走りながらもきちんとした夢と現実に生きる葛藤を元に純粋な夢を見る小学生を中心とした家族のヒューマンドラマになっている点が凄いと思えた。
 はっきり言って滋賀が好きだからと言うわけではなく泣ける。
 そこには単なる家族や夢だけでなく、
哲学的な要素が含まれている。何のために生きるのか。
 明日死ぬつもりでいまを生きる、若しくは永遠に生きるつもりで今を生きる。
夢に向かうそれぞれがそれぞれの立場に向けて送られている。こういったガンジーの思想が直接引用されている。一見飛躍はあるものの滋賀に繋がりは確かにあった。
関係者に話を伺えればそこに熱いものがどうしても欲しかったとのこと。

 分かりやすすぎるが思想を受け継ぐこと。それが世代を越えるだけでなく身近な人の思いもスポットライトが当てられている。これはどの物語、伝統、産業においても言える。
 いろんな方の滋賀に対する思いと、きちんとしたストーリー構成のもとで実現したヒューマンドラマになっていた。

 気になる点は作品としての強いメッセージが弱かったような気がする。
 役者の熱のこもりかたが小学生を中心とし過ぎたせいで抑揚があまりなかった。

悪者として取りあげた観光客、放送局の関係者、これらは作られ過ぎている違和感しかないし現実はそんなことはない。
抑揚をつける上では必要なのだが引っ掛かる。
 欲を言えば日常感を出すのは共感するもののトップの映像美、音楽の使い方等突出した映画と比較するとその辺りの押しが欲しかった
これはこれから全国、世界に展開される構想とのことです。
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