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透明人間のmaiのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
3.9
これは最高のエンタメ映画でした!!!!
まず冒頭から繰り広げられる「緊迫の脱出劇」。
女性が交際相手であろう男性に薬を盛って逃げ出そうとするけれど、絶対に起こしてはいけないし…そして出てくる秘密の部屋みたいなのが凄く最新鋭すぎて不気味なのが印象的です。
この時点でスリラーとしてのハラハラドキドキは満点です。
そして、二転三転するストーリーが続きます。
ハッピー・デス・デイでも思ったのですが、一方的な被害者だと思っていた女性がくるっと「攻撃する側」「抗う側」に回った瞬間ってとてつもなく面白いですよね…。
それまではただただ繰り広げられる状況に対して、何も対処しきれないような…そんな無力感を存分に見せておいて、吹っ切れてからは知恵の応酬で最終的にあっと爽快な展開に持ち込む。
言葉にすると簡単ですけど、これをスクリーン内で見せるとなるとかなり難しいのは言わずもがな。
タネも仕掛けもないよって状況なのに、あの時のあの言葉やあの道具が引き金になる…とか、そういういい意味での「小細工」も必要ですし、最終的に「主人公最強じゃん」と思わせないと爽快感がないので、じわじわとそれを感じさせることも必要ですし。
かと言って、突飛なアイディアや非現実的(設定がではなく、状況を打破するアイディアが「なにそれ…」と脱力するようなものではないという意味で「現実的な」)なトリックでもダメで、「なるほど」とか「伏線回収されてる!」と驚かせるものでなくては面白くありません。
そう言った意味で、この映画は完全なるエンタメ映画です!
「アンセイン」を彷彿とさせるような、不自然なアングルを数カ所挟むことで不安感を煽って、それでいて「本当は主人公が異常なんじゃないか?」と思わせます。
そして、実は…な展開を用意しておき、その状況を彼女自身に打破させる。
スリラーとしてもサイコとしても、そして一種のサスペンス・ドラマとしても楽しめます。
なぜ彼女と彼が出会ったのか?とか、なぜ彼がここまでに固執してるのか?とか、スーツの仕組みは?とかどうでも良くなります。
もう設定と展開と…アイディア自体が面白すぎる。
あんなに負け犬かのような闘志剥き出しの表情だったセシリアが、ラストのアップでくり抜かれたときの「してやった」という恍惚にも似た表情は最高でした…!!!!

映画館でなくても楽しめる作品ではあるけど、映画館だからこそじっくり座って見尽くせる映画です。
2時間(特に後半の1時間)があっという間でした…。
mai

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