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3月のライオン 前編のsaoriのネタバレレビュー・内容・結末

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

神木隆之介くん(彼はいつまでくん付けで呼ばれるんだろう)が零を演じると決まった時点で、始まる前から半分成功してたと思います。柔らかで清潔感のある人間くささと喋り方、未完成な骨格というビジュアルがぴったり。だけど、子ども時代も含め、あと2センチは髪を切っても、零にちゃんと似ているのでは。最近の羽海野さんが描く零までもが映画に合わせて?髪が当初より長くなってる気がするのは私だけ?垢抜けなさ、棋士らしさ(将棋しか目に入っていないというゆえの)もさい匙加減が、ちょっと不潔っぽいを感じてしまうくらいでは台無しのような気が。そこらへんは零くんに恋する女子目線の希望かも。神木くんがもう原作通りの性格(原作の零くんだってピュアなところからスレスレに尖った側面まで難しそうなのに)のそのまま生きてる感じがするのでもうさすがとしか言えない。
二階堂演じた染谷くんは大変残念。彼は(おそらくスタッフも)すごく頑張っていたが、彼の持つ可愛らしさと二階堂の可愛らしさは全然違うと思う。ただ熱ければいいというわけではないし、無表情でも可愛らしさが見えるような、無駄にキラキラした、つまり零と正反対の魅力が見えなければ、ふたりのキャラクターは際立たないのでは。キャラクターのズレを楽しむといえば、松本一砂演じる尾上さんとのワンシーンは本人たちも楽しそうで面白かった。尾上さんや有村架純さんや加瀬亮さんは、原作キャラクターに似ていずとも、キャラクターの持つ魅力や零との距離感などが上手に表現できていらっしゃったと思う。ぴったりだと感じた。他の方は、皆さん全員ものすごく丁寧に演じていらっしゃったと感じた上で書かせていただくとすれば、豊川悦司さんはすべてが将棋中心に考えてしまう不器用さがないし(最初の登場シーンの立ち方あれなんだろう)(まず「君は将棋好きか」って聞く前にもっと親族ざわざわさせるべきでは)、伊藤英明さんは、喋り方や声のトーンが素晴らしかったけど、お顔立ちがきれい過ぎて苦悩のにじみみたいな人間くささが島田と比べると足りない気がした(座り直すのはもっと乱雑でも良かった)。林田先生を高橋一生さんが演じるなら、中途半端なちょび髭もいらないと思うし(高橋一生さんの魅力で充分)、あかりさんは素敵なのになぜドレスがあれなの?(怒)おっぱいは??川本三姉妹の持つこの物語の役割って女性らしい癒やしに対する全人類の夢というものの具現じゃないの??(違います)それをいうなら香子さんの最初のほんのり色気シーンは(零との距離感や関係性に鋭いスパイスが加わった感じで)いい感じと思ったけど、2回目のお色気の、スリップ‼(怒)ブルーとか選んだの誰なのよ!いかにもファンタジーっぽくて一瞬醒めたし、したたかさを表現するにしてもピンクでも黒でもなく、蛍光ブルーって…下品過ぎ…何より有村架純さんに似合ってないし、あんまりリアルな色だと生々しくなっちゃうかもだけど、生成りにレースと光沢で充分素敵なのにと思いました。ひなちゃんはちょっと落ち着いてる気がして、もっと零が圧倒されちゃうくらいの元気さと、お姉ちゃん大好き感が欲しかったけど、お菓子作りを手伝ってるときの、ふたつお団子結びとかが最高に可愛かったのでメイクさんグッジョブです。おそらく彼女は後半のための存在だからかなと思いますし、またどんなふうに各キャラクターが動くのかが後半楽しみです。
え?佐々木蔵之介さん??いた?島田開さんそのままの人しかいなかったけど?

あそうだ…ドラムは…さ…違うよ…叫ぶ前からあんなうるさいとか台無しじゃん…いや、心の中が荒ぶってるってのは分かるけどさ…はじける寸前じゃないじゃん、もうはじけてんじゃん…叫ぶまで待とうよ…きーーーーんとか抑制しまくってる音とかが良かったなあ…好みだね…

すごくすごく勝手なイメージですが、エンディング曲(あんな撫でるような単純なメロディーと彼ららしい新鮮さが本当にこの作品に合っているのか)やポスターのピンク感の強さや、前後編という仕立てから、商業映画感強め…と思ってましたが、やはり原作のいい意味で整備されてない道のような荒っぽさは半分くらいにされて、ちょっと加工品っぽくなったなあと感じました。漫画原作を実写化するなら、地味な現実感はいらないってこと?
個人的感想を長々と書き連ねました。
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