じゃむお

3月のライオン 前編のじゃむおのレビュー・感想・評価

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
3.8
movix仙台で鑑賞。日曜日の真っ昼間なのに、観客の入りは3割程度でした。

3月のライオン、コミック原作でアニメ化もされ有名なタイトルですが、自分としては原作を数年前に6巻くらいまでを借りて読み、アニメは未見、原作の内容もほぼ忘れた状態で今回の実写版を観ました。

映画を観終わり、原作をもう一度読んで再認識した事があります。この3月のライオン、原作のどこが魅力なのか。それは以下の4要素で、

1、将棋の棋士の世界でプロ棋士として戦っていく部分

2、将棋の強さという価値観が絶対化された家族の中ですれちがって行く家族の部分

3、近所の3姉妹家族との交流により失った愛情や家庭生活、季節感を取り戻していく部分

4、漫画ならではの笑いやコメディの部分

この4要素が入り混じることで、メインストーリーの1と2だけだとこれでもかというくらいの重い、暗い話が3と4の部分で中和されて、この3月のライオンという話のバランスが成り立っていると思うわけです。

そしてこの実写化はどうなのか。原作の5巻+αくらいを2時間弱の映画にしたわけですが、もちろんその全てを映画にするのは不可能です。なのでどこを中心にするかというと、当然メインストーリーである上記の1と2の部分で、3と4の要素はストーリーに関係する部分以外は落とされてます。というより3と4の要素はマンガ独特の絵や表現で成り立っている部分も多々あるので、実写にしにくかったという理由もあると思います。

その結果どうなのか。重くて暗い1と2に対して、救いとなる3と4の要素が大幅に目減りした事により、原作のバランスが崩れ、重くて暗い部分が勝ってしまい、どんよりとした実写化になってしまった、という印象です。

ストーリーもいくら前後編の映画の前編とはいえ、終わる部分もここで終わるの?という部分で終わりますし、話のテンポも悪く、消化不良が残る感じでした。

ただ、役者陣は男性陣はどれもはまり役ですし、将棋の対局のシーンは動きの少ない将棋というテーマに対し、良く表現できていると思います。

酷く言っているように見えますが十分楽しみましたし、後編も公開されたら必ず観ます。後編も楽しみです。
じゃむお

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