あるてーきゅう至上主義者

3月のライオン 前編のあるてーきゅう至上主義者のレビュー・感想・評価

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
3.7
あの原作をどうやってまとめるんだ…?と、あまり期待しないで観に行ったら、これがなかなかよくできていた。全て原作通りではない(島田×桐山戦での対局後の感想戦がカットされていたり。これは入れて欲しかった…)けれど、おおむね原作のエピソードを拾い集めて、しっかり再構成されていた。香子役に有村架純をキャスティングしたのは意外だったけど、思った以上にはまっていたし、神木隆之介もいい感じ。

直近での将棋を題材にした作品には「聖の青春」があるけど、あの作品がモデルとなった村山聖に視点を絞って作られた伝記映画的な作品だったとすれば、3月のライオンは、主人公+周囲の人々を将棋と家族を二本柱にして描いた群像劇。「家族」と「将棋」のどちらか一方に片寄ることなく、バランスが取られていたのもよかったな。

といっても、あくまでも神木隆之介演じる主人公の桐山零の成長物語が中心になっている。この映画の中では挫折もありつつも比較的順調に棋士として成長してきてるかな?と思ったけど、最後の最後にとても超えられないような実力と風格を持った棋士を登場させることで、これからの零のさらなる闘いと成長ぶりを後編に期待させるつくりになっているのも、なかなかいい終わりかただったと思う。
正直、モノローグや説明台詞が多すぎる(原作がモノローグ多めの漫画なので、原作準拠といえなくもないけど)点や、回想シーンがこんなに必要だったかな?と疑問に思うところもあるけれど、充分後編に期待を持てる映画に仕上がっている。

…などと色々書いたけど、女性なら佐々木蔵之助や加瀬亮のイケメン棋士ぶり見るためだけ、男性なら零の姉役の有村架純の罵倒ぶりを聞くためだけでも、1800円を払う価値はあると思います!