シュンギク

3月のライオン 後編のシュンギクのレビュー・感想・評価

3月のライオン 後編(2017年製作の映画)
3.0
漫画原作の映画にありがちなぶつ切りエピソードの連続さは前編同様にあるものの、前編のような違和感は薄くある程度まとまっていた一作になっていた。


大友監督らしいダラダラとしたシーンや大仰な芝居も少なく、大友監督作の中では普通に良い作品かもしれない。
家族のドラマ、なぜ戦うのか・戦えるのかにテーマを絞っていたことが良い方向に進み、クライマックスの対局と和解シーンもグッド。原作よりも先に一歩踏み込んだ今作のシーンを早く原作で読みたいと思った。いじめや父親のシーンのキリキリと胃が痛くなるシーンの重さも画作りを重くリアルにする大友監督の作風にマッチしていた。
尺は長いものの、深く考えなければ“それなりに良い物語だった”と感じられるはず。


ただやはり大友監督作。細かくツッコミ出すと人間の感情を無視した、血の通っていないキャラクターたちの言動に不快感を抱く。
とにかく謝罪を入れるシーンがなかったのが気になった。
零から先生へ、あかりから零へ、幸田から子供たちへ。何事もなかったかのように振る舞えるのか納得がいかない。セリフひとつで済むことなのに。

尺や物語のバランス上仕方ないとはいえ、いじめもあれで終わりなのはちょっと納得が行かないかなぁ。


1本の映画としてはまずまず。2部作の映画としては前編のダメさが気になる。漫画原作としてもまずまずだがキャストやビジュアル、〆方はそれなりによかったか。