しん

手遅れの過去のしんのレビュー・感想・評価

手遅れの過去(2015年製作の映画)
4.5
傑作。埋もれてしまっているのが本当に惜しい作品、映画好きにこそ声を大にして薦めたい。
特筆すべきは1カット長回し20分の5カットで構成されている点。
序盤の1カット目のシークエンスから目が離せなくなること請け合い。
それぞれのカット毎に素晴らしい撮影の工夫と役者陣の努力があり、それがしっかりと作品の構成に結びついてる点は圧巻。
物語はどこかタランティーノを思わせるシニカルなセリフ回しと歪な時間軸の構成で語られていく。過去から彼等の人生が紡がれ謎が明らかになっていく様はミステリ的でありドラマ的でもある。
特に4カット目のフィルムを繋ぐ描写と劇中のセリフからは非常にメタ的な視点が付与され更に物語に奥域を与えている。
メルのキャラクターも非常に味があって好き、彼がサンバイザーを下ろす描写の意図が最後に分かった時の感情の高ぶりは忘れられない。
原題のtoo lateの意味が徐々に真に迫ってくる展開には切なくて胸を打たれた。
全てを知った上でもう一度見返したくなる。
非常に映画的で直近でも類をみない高い完成度の作品。
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