ひよこまめ

エル ELLEのひよこまめのネタバレレビュー・内容・結末

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

50代ぐらいと思われる女性がレイプされるところから始まります。
その後、何事もなかったように日常を送る主人公のミシェル、だけど、やっぱり許しがたい出来事だったようで、防犯態勢を整えつつ、犯人探し。
けれども、その犯人が誰で、何でそんな事をするのかがわかってみると、彼女はそれをプレイとして受け入れる。
自分の中にそういう歪みがあることを許容することで、過去のトラウマからも解放される。

これはこれでアリだなと納得していたら、なんと彼は、母親が襲われていると思った彼女の息子に殴られ死んでしまいます。

これが、ミシェルの計略だったのか、想定外だったのかが、よくわかりません。
その前、男の家で誘いに乗るような形で襲われた時に、ミシェルが満足できなかったような描写があったので、今回は自分も楽しむわというようなつもりだったのかと思っていたのですが。
でも、パーティー会場を出るときに息子に「彼と先に帰ってるわね」と言ってるわけだから、息子が後から帰ってくることはわかってて変態男に応じてた、とすれば、彼女は男を許してなんかなくて、息子を利用して復讐する計画だったのか。

変態男が死んじゃってよかったのか?と思ったのですが、男の妻に感謝されたり、軽やかで清々しいラストシーンで、あの変態男はミシェルの踏み台だったということで、一応のハッピーエンドってことでいいのかな、と。

そんな主人公のミシェルには意外と共感できました。深刻な過去を背負ってこの歳まで頑張って生きてきて、成功を手に入れて、もう好きなように生きていいよねと思えたのですが。

ただ、その解放のきっかけになるのがレイプ、というところにどうしても抵抗があります。
映画として理解できても、女性として、それを許容してはいけない気がする。
監督はその変態男を殺すことでバランスを取ったつもりなのかもしれないけど。
それはやっぱり男の理屈であって、レイプという行為にこんな形で正当性を与えてしまってはいけないでしょう。

女優さんは素晴らしかったし、フランス映画らしい品と美しさもあってそれは悪くなかったのに、残念でした。
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