エル ELLEの作品情報・感想・評価

エル ELLE2016年製作の映画)

Elle

上映日:2017年08月25日

製作国:

上映時間:131分

3.4

あらすじ

「エル ELLE」に投稿された感想・評価

木蓮

木蓮の感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

怖いという評判を聞いていたので、イサベル・ユペールがイっちゃってる役なのかと思っていたけれど、まあある意味イっちゃってましたね。
レイプシーンから始まり、その犯人が誰なのかというサスペンスと、主人公ミシェルの奔放な生活、なかなか派手な衝撃作だと思えば、監督がポール・ヴァーホーヴェン。納得でした( ̄∇ ̄)ニヤッ
彼女の過去が及ぼした影響とか、あるのかと思えば特に無いので、その設定は必要なのかと思いましたが、その潔さっぷりも含めて面白かったです。
なかなか衝撃的なシーンから始まるが、主人公は淡々と日常生活を送り警察にも通報しない。警察が嫌いな理由は作中で語られるけど、それにしてもドライというかなんというか。類は友を呼ぶのか、特殊性癖同士は惹かれ合うのか。
朱音

朱音の感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「Elle」とは「彼女」を意味するフランス語であり、このタイトルが示す通り本作はミシェルというひとりの女性の在り様と、その変容を克明に描いた映画である。

他を凌駕する自立的女性を描いたという点で、「氷の微笑」の進化系と言える作品なのではないか。
バーホーヴェン監督がかつてハリウッド環境下での様々な制約に阻まれ、やりたくてもやれなかった事を、本作で遂に理想的な形で実現させてみせたのだ。

そしてイザベル・ユペールとの幸福なタッグマッチによって本作に更なる深みを生んでいる。
ユペールの聡明さと、冷笑、60歳を過ぎて尚衰える事のない艶やかな美貌、エレガントな佇まい、そしてエロティシズム、画面を支配してしまう程の稀代の存在感がミシェルというキャラクターに圧倒的な説得力をもたらしている。
私は彼女の一挙手一投足から終始目が離せなくなってしまった。

ミシェルと他者との関係性の間には常に支配が存在する。
幼少期における父との関係性、彼が起こした事件と、その後の警察やマスメディアから執拗に追われ、世間からのバッシングに晒され続けた事によって、彼女は絶対的弱者としての立場を余儀なくされる。
そういったトラウマによってか、彼女は人格形成の内に自己の不全感を抱え、他者との関係性において無意識的に剛健的に振る舞う。
母親や、息子、別れた元夫、情夫、或いは彼女の部下達や、ビジネスパートナーでもある親友との関係において、それは明らかで、様々なベクトルの一方的な(共)依存関係を構築していると言える。
一方で彼女は支配の枠に収まらない他者、母の恋人や、息子の妻、元夫の恋人を毛嫌いし、排他的に振る舞うのだ。

本作ではそんなミシェルが正体不明の男にレイプされる場面から始まる。
築き上げてきた自己の尊厳が再び剥奪されたこの事件を契機に、彼女の中で封印していた、かつての父との関係に纏わる記憶が蘇ってくる。
どうやら自分の身近に居る者の犯行である可能性を匂わせ、徐々に日常を侵食してくるその脅威と、ミシェルはひとり、自らの手で闘う。


パトリックという性的倒錯者と対峙する事によって、それに呼応するかの様に、ミシェルは自らの内に秘めた被虐的な性の欲動を見出してゆく。
これは裏を返せば、レイプという行為、その苛虐性を、そのまま取り込んでしまうという事なのだ。
すなわち支配してしまうという事である。

ミシェルはその怪物的自立心を持って、全てを凌駕し、何もかもを清算した上で、新たな人生を手に入れる。


凄い映画だ。
極めて実在感のある描写、リアルで信憑性のある会話劇、容赦のない暴力・性の表現、知的で興味深いこの物語の、まるで先の読めないスリリングな展開に終始ハラハラしながら観た。
ひとりの女性の、心の綾が次第に浮き彫りになってゆく、それ自体が極上のミステリーになっている。
フェミニズムにおける、モラルとインモラルのラインを自在に跨いで見せるこの映画は、確かに保守的なハリウッド資本では実現不可能であっただろう。
同時に本作は性的倒錯者に対する、ある種の憐れみを含んでもいる。
レイプは紛れもない重罪であり、許されざる行為であるが、性の不全感は、それ自体は誰にとっても不幸なのだ。
ポール・バーホーヴェン監督をネクスト・レベルに押し上げた紛れも無い傑作だと思う。


個人的にはパトリックの妻レベッカのラストの「彼を受け入れてくれてありがとう」という台詞。
彼女が敬虔なクリスチャンであるという描写、およびカトリック信者ならではの習慣やモチーフが劇中にこれでもかと示唆されるが、この台詞によって彼女がパトリックの性癖と(恐らくは)常習的なレイプ行為を黙認していた事が発覚する。
これはローマ法王が神父による児童への性的虐待を黙認していた事実になぞらえている。
つまりこれもまたレイプなのだ。
最後の最後にこんな衝撃をぶちかましてくるバーホーヴェン監督の演出力に私は深く頷いてしまった。

こういったバーホーヴェン流のシニカルな仕掛けが随所に見られるのも非常に楽しい。
脇に至るまでキャラクターに何らかの含みを持たせて巧みに印象を残す。

ヴァンサンとジョジーの子供の出産場面での、同僚の黒人青年のウインク。
ロベールの実に性的ないやらし〜い目配せ。
ミシェルから身内調査を依頼されたケヴィンに、虫を踏み潰す動画を「異常だ」なんて言わせてしまうくだりは笑ってしまった。
TactOno

TactOnoの感想・評価

3.4
ストーリーははっきり言ってついていけなかった(けどそれがこの映画の魅力なんだろう)
イザベルユペールがすばらしく美しい。
ゲームソフト開発会社を経営する女性社長が自宅でレイプされたことで周囲の人間関係が変化していく。スリラーの題材だが、神経症的なルックを採用せず、フランスが舞台ということもあってか、大人っぽいシックな雰囲気になっており、ジャンル分けのできないタイプの作品。宗教的なアイテムやイベントの繰り返しから、背徳感を強調しているのがわかるが、日本人にはピンと来ないかも。常々、特殊嗜好の人って何で「プレイ」で満足できるんだろう?と思ってたから、少し気持ちというか、想いが解ってスッキリした。あと、新作ゲームがありがちなタイプで微妙な気がしたけど、あれでいいのか?
2019.1.20 スターチャンネル(録画)(字幕)
ただし

ただしの感想・評価

2.8
ちょっと期待していた感じと違った。
もうちょっとサスペンス寄りかと思ってた。
自分には難解過ぎた感じ
ちょっとというかかなり癖のある登場人物が多く、
よく分からないものの飽きることなく最後まで見る事ができた。
感情が何も揺さぶられなかったのが残念 ある意味心を無にできる映画か。
白井

白井の感想・評価

4.5
リトマス試験紙みたいな作品。
確かにほとんどの登場人物の頭のネジが外れてると言い切ってしまえばそれまでなんだけど、でも人間って大体こんなもんじゃないの?
フランスの性事情はなかなか高度で多少面食らいはしたけど、少なくともぼくは、全員を指さしてこいつら頭おかしいな(笑)って言えないもの。
イザベルユペール。ものすごい女優さんです。60過ぎてこの色気、この存在感。なんかいろいろ獲ってるのも頷ける。
とにかくね。ぼくは大好きですよ。こういう映画。
こうめ

こうめの感想・評価

3.5
ただのエロティックサスペンス映画ではなかったです。
なんで?て思うシーンや意味がわからないセリフもありますが、中だるみもなく最後まで観れました。
よくこの内容を1本の映画にまとめたなと思う。
前回観たピアニストですっかりユペール様の虜になってしまいました。
60歳超えって嘘でしょ。。ユペール様の美しさを観る為だけでもいいと思うほど。ファッションも洗練されたスタイリッシュな感じで真似したい!!あんなにスレンダーだから似合うんだろうけど。
本編はと言いますと、これはサスペンスではありませんね。THE人間ドラマだと私は思います。彼女がヤバいみたいな予告編だったけど、あまりそうも思わなかったわ。頭のいい計算高い女社長。周りの人たちもなかなかキャラ濃いけど、なんだかね、ユペール様の存在感強すぎてそれ以外の何物でもないといった印象。
つまり、この映画は本当はもっとサスペンスに満ち溢れて、主人公のヤバい感がもっと浮き出ていなければいけなかったのに、イザベルユペールが全てを持っていってしまって私のような印象しか受けない視聴者が多い、のではないのでしょうか?自分自身この映画に関して何をレビューすればいいかこんなに考えながら書いたのは初めて。かなりの上級者向け。
インフルで出勤停止の為、ELLE。
うーん、この特殊性癖。クズばっかりで思ってたストーリーとなんか違った。フォーカスされているキャラクタに全然感情移入出来ず、別の人間に感情移入するため悲しくなる。
そもそもこの主人公に惹かれること自体分からない。魅力を教えてくれ。色気シーンになる度困惑してしまう。孫もいる身で何してるんですかね。
爽快な映画が観たくなってきました。
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