松崎

エル ELLEの松崎のレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
5.0
超無神論者の監督ならではの作品。主人公ミシェルの自律性(神に頼らない)、父親は宗教によって自身も家族も狂わせる、敬虔なカトリック信者の隣人が発する最後の意味深なセリフとローマカソリックに対する強烈なアンチ感満載。
冒頭、主人公のミシェルの行動は、私たちの「期待」するものとは異なる。お手軽で画一的な理解や共感がいかに他人の尊厳を時に傷つけるか。物語が進む程に明らかになるが、決して悲壮感漂う話ではなく、寧ろ軽いタッチで、そこが世の女性陣からレイプ被害者への冒涜だと非難される所以だろう。
彼女は決して強い女ではない。怖がっているし、とても傷ついている。再発防衛策もしっかりとる。当然レイプ犯許すまじだ。ただ我々が勝手に思う「被害者らしい振る舞い」をしないだけ。イザベル・ユペールでなければちと表現できなかった女性像でありとても爽快だ。御年64歳、ババア抱かせてくれ!!
松崎

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