Tomo

エル ELLEのTomoのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
2.5
久々の胸糞映画でした。
胸糞といっても、別に嫌いな映画ではありません。ただ、非道徳や絶望といったものと一線を画し、想像を絶する主張を考える隙も与えず貫く点で胸糞でした。

冒頭は好きです。主人公が自宅でレイプされた後、暫く大の字になり、その後何事もなかったかのように無表情で割れたグラスを片付ける。この描写で普通の映画ではないことは実感できます。

でも、その後は僕的には受け入れられなかったです。主人公ミシェルは殺人犯の父と性に貪欲な母を両親に持ち、幼い頃からそんな人間との決別、自立心が異常に強くなります。そんなミシェルだからこそ、レイプ被害は出さず、同僚からの反発も意に介さない。ある意味鉄の女というイメージでもとれますが、とんでもないです。だって人からみれば勝手な自己肯定をしてるんですから。

そして何より自由な性癖でしょうか。こらはフランスの性文化が日本人には理解できない部分があるかもしれません。お互いの合意があれば不倫はありの寝取り寝取られの世界、高齢になっても冷めることのない性欲(もちろん全てではなく)、それを日常とするように本作でも部下の彼氏や近所の既婚者と寝る。そんなのを普通だと見せられてもいや、まてよと思ってしまいます。

ラストもレイプされそうになる途中で息子に救われるが、あれだってホントは息子が入らなければそのままレイプされてる。それよりもはや誰にレイプされたかも分からなくなってる程、自由な性活だと思いました。

一自立心が強すぎて、他人とはある意味主従関係のようなものを感じさせる、そして異常な性癖、そんな自由なミシェル。そこに隙がなく不快のフラストレーションが溜まるのが本作です。

ちなみに、主演のイザベル・ユペールは当時64歳、とてもそんな年齢には見えない美しさ、とんでもない女優さんですね。
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