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ティエリー・トグルドーの憂鬱のkoyoのレビュー・感想・評価

3.1
この映画は、理不尽な社会に勇敢に立ち向かう男ではなく、潰されまいと必死にもがいてる男の物語である

50歳を過ぎ、障がいをもつ子供を抱えながら、不当解雇されたティエリー・トグルドー。

集団訴訟も再就職も上手くいかない彼は、元々のエンジニアとはかけ離れたスーパーの警備員の仕事に就くことに。

スーパー内でベテラン従業員の小さな不正が発覚。不正をしたことで解雇になった従業員は、スーパー内で自殺をしてしまう……

全体的に、淡々と暗い雰囲気で、物語は進行していきます。
ティエリー役の、ヴァンサン・ランドンも憂鬱な中年男性役が適役と言えるほどハマってて良かったです。

ティエリーが、家族と過ごしてるシーンは、物語の暗い雰囲気のなかで、とても印象的に写っています。彼は、息子に希望を持っているし、妻と息子と過ごしている時は、明るくすら見える。

そんな、対照的な映し方が余計と切なく暗く見えました。最後の、彼の行動は弱者なりの小さなもがきで反抗であると思いました。無愛想で憂鬱だけど、人間らしさを忘れてはいけない。
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