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波のした、土のうえのmのレビュー・感想・評価

波のした、土のうえ(2014年製作の映画)
5.0
すべて流された荒涼たる土地に重なるオフボイスとなればデュラスの映画を想起してしまうが、描かれているのは表現という行為をジャンル化された特権的な芸術あるいはアートから取り戻すかのような無為の生、営みであった。その人でなければ口にすることのできない出来事の回想や些細なフレーズが、外部の人間によって再構築されることで世界を一周して帰ってきたような感じすら受けて胸がきつかった。「復興」をどう捉えるのかは当然単純に図式化できず、津波という非人間的なものと人間的価値の中で生きることのせめぎ合い(対立ではなく変動する関係のような)で考えていくことなのでしょう。わけ知り顔で傑作だなんて言って価値で測るのが恥ずかしいほど真摯な映画でした。
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