YamRyosuke

マンチェスター・バイ・ザ・シーのYamRyosukeのレビュー・感想・評価

3.8
無愛想な便利屋のリーが兄の死により故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ると、甥っ子のパトリックの後見人に指名されていた。そして明らかになるリーの悲劇的な過去。

つらい過去を乗り越えて、新しい一歩を踏み出していく映画は、数え切れないほどありますし、一般的にも周りは過去を乗り越えさせようと励ましたりします。
しかし、本作では過去を乗り越えないし、明るい未来が始まるわけでもない。でも過去を乗り越えられないことなんて当然あるし、それを抱えて生きていくことも一つの生き方であることを、この映画では伝えたかったのではないかと思います。
いつでもパトリックを迎えられるように、ボストンの新しい家には予備の部屋をつけようとしたことが、過去を乗り越えられない中でも、リーの新しい一歩だったのかもしれません。

ケイシー・アフレック演じるリーの無愛想で哀愁漂う姿と、冬のマンチェスター・バイ・ザ・シーの寒く寂しげな雰囲気がマッチした、不思議と引き込まれる世界観もよかった。
YamRyosuke

YamRyosuke