映画おじいさん

見栄を張るの映画おじいさんのレビュー・感想・評価

見栄を張る(2016年製作の映画)
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和馬くん役の子役がとにかく良かった。名作『スケアクロウ』のラストに出てくる子供が喋り出したらこんな感じなのかな、と思うくらいに。
目が泳いでいるところなんてもちろんないし、台詞がない時の微妙な表情とかも100点満点。

でもこの子役の素晴らしさ以外は正直いかにも自主製作クオリティな作品だと思いました。

まずは自主製作映画にありがちな「こんな人いないでしょ…」な登場人物。

別の事務所の大袈裟な泣き屋さん。あれはちょっと大袈裟過ぎでしょう。あそこまでしないでも観客には分かるはず。やり過ぎで悪い意味でこれは映画だと我に返ってしまうし、観客はそこまでバカではありません。
あの中のクソ生意気な泣き屋にヒロインが洗面所で話しかけられる場面は、冒頭の地下アイドルみたいな女の子を思い出すけど、今回は腹に溜まったことを吐き出した(ように見える)のは気持ち良かった。

売れないお笑い芸人の彼氏もあんな絵に描いたようなチャラい奴、現実にいないでしょう。要は作り物っぽい。
彼氏のチャームポイントがひとつも描かれていないので、ヒロインはどこに惚れていたのかが全く理解不能。そうなると物語にも説得力がなくなる。ただイライラさせられるだけ。
業を煮やしたヒロインが焼きそばをチャラ彼にぶっかけるシーンも…故意にグダグダな演出をしているのかも知れないけど、ここはバシッとしないと話に締まりがなくなるのでは。この場面に自主製作映画のユルさを一番感じました。

昔何かがあったと思われる花屋に勤めるイケメンくんはリアリティはあったけど、女優がダメだから泣き屋になるのは違うだろ、とか言うことが真っ当過ぎて魅力ゼロだから、もっと過去の説明とかをしても良かったのでは。

始めの方、地下アイドルみたいな女の子やバイト先の先輩みたいな人に話しかけられるけど、彼女らは話しかけておきながらヒロインの話を全く聞かないところとか面白かったです。