見栄を張るの作品情報・感想・評価

見栄を張る2016年製作の映画)

上映日:2018年03月24日

製作国:

上映時間:93分

3.7

あらすじ

「見栄を張る」に投稿された感想・評価

KKMX

KKMXの感想・評価

4.6
鑑賞前から良い映画だと想像していましたが、想像以上の秀作。はっきり言って、たいへん好みの映画でした。
目利き揃いのフォロイー様方が誰もレビューを挙げていないのが不思議なくらいの良作です。


主人公・エリコはオーディションでも中途半端な演技しかできない女優崩れ。でも周囲には、それなりのポジションですよ、と見栄を張っている。同棲している男も芸人崩れで優しいだけのクズ野郎でヒモ同然。
このように人生をガチで生きていない女・エリコが姉の死をきっかけに故郷に帰省し、姉の職業だった『泣き屋』に挑戦し、人生を見つめ直す…というストーリーでした。


本作はよくあるダメ女の再生物語です。しかし、死と向かい合うことで再生に向かう流れが本作をとてもリアルで特別なものにしていると感じました。

姉の死と出会うまでは人生としっかり向かい合うことができず、いたずらに月日を消費していたエリコ。しかし、姉の死によって、自分の核とつながり直すタイミングが訪れました。死は人生の有限性を突き付けてきます。自分にとって何が大事であり、何が本質的であるか。自分には何ができ、何を求めているのか。

親戚に煙たがられているエリコは、葬儀を終えてすぐに東京に戻ることもできました。本人もそのつもりだったのでしょう。実際、その方が楽なはず。しかし、彼女はしばらく故郷に残る選択をします。残された姉の子・カズマを残していけないことが理由であろうと思われますが、それだけではないのでしょう。
エリコの心の奥底にあるアンテナが、姉の眠るこの地に残ることこそが有意味な生につながるのではないか、と感じたからだと思います。それは合理的に説明できる薄っぺらなものではない。彼女の中の意味ある人生を生きたいという渇望が彼女をとどまらせたように感じました。東京に戻ったら、またこれまでと同じ意味のない生が待っているだけですから。


エリコの姉は葬式で涙を流す『泣き屋』という仕事についていました。エリコは女優なので、自分にもできると思い、姉の師匠の下で泣き屋に挑戦します。
しかし、師匠はエリコを一喝。偽の涙を流すことが仕事ではない、かつて存在していた人がいた、それが失われたことを周囲に伝える事が泣き屋の仕事なのだ、と。

エリコは女優の仕事でも、偽の涙を流していたのでしょう(だから行き詰っていた)。『偽』は本作のキーワードです。英語タイトルも『Eriko, Pretended』。
死と向かい合わなければ、人は偽りの人生を生きてしまうのかもしれません。日々は続いていき、それが変わらず続くような錯覚を覚えます。日々をやり過ごすためにごまかすことも多々あるでしょう。エリコだって、上京した当初はほんとうの人生を生きたいと思っていたはず。しかし、徐々に本質を見失い、ズレていってしまった。修正できずに核を失ったのだ。つまり、偽の人生を生きることとなったのです。
エリコがハデに泣きすぎる・仕事をナメているバイトっぽい泣き屋に対して激しく苛立つシーンがありました。それは自分の姿を見たからです。自分はあんな風に生きていたのか、と突き付けられた気持ちになったのでしょう。


物語は淡々と進み、エリコのドラマチックな変容はわかりやすくは描かれていません。
しかし、エリコは存在していた人が失われたことを周囲に伝える泣き屋の仕事に真摯に向かい合い、クライマックスではそれが見事に描かれていたと感じました。とても静かに自分の核とつながり直していくエリコ。その生まれ変わっていく姿には、感動を覚えざるを得ませんでした。

正直、詰めが甘いところもあり、粗っぽい造りの映画だと思います。カズマの行く末はややご都合主義だし、泣き屋についても死と生をつなぐ僧侶的な側面は説明台詞だけて終わっていたと感じました。
しかし、死と向かい合い生を生き直すという本作のテーマは実に丁寧に描かれており、結果的にとても繊細な名作であった、と実感した次第です。


演者について。主演の久保陽香さんの透明感がハンパではなく、儚い美貌に一瞬でヤられてしまいました。上映後にトークショーがあったのですが、ゆる〜い関西弁がとてもキュートで、すっかりファンになりました。
藤村監督はカッコいい女性、という印象でした。まだ20代とのことで、今後がたいへん楽しみです。

本作には、ペヤングに生姜を入れて食べるシーンが繰り返し描かれます(これがまた旨そうなんですね)。
トークショー後にパンフとともにペヤングが売られており、当然購入したところ、なんと藤村監督がペヤングにサインしてくださいました!
逆に食べられなくなっちゃったと思いましたが、結局生姜をブッ混んで食べました。生姜入りペヤング、めっちゃ旨かったです!
みつ

みつの感想・評価

3.7
日頃から見栄を張りがちな自分には、主人公の見栄の張り方がとても痛く、心に痛く……。

だからこそ、主人公がゆっくりと静かに確かに
変わって行く姿に心の奥がぎゅっとなるのを感じた。

泣き屋という仕事が珍しいからこそもっと描いてほしいとも思ったけれど、
涙を流す浄化作用に似て
鑑賞しながら見栄っていう凝り固まったものがほぐされ浄化されていくようだった。

監督やキャストの人柄が滲み出るような
優しさの伝わる日本映画です。
横川シネマにて鑑賞しました。

10年続けた女優という職業に目がでない中で半ば投げやりになっていた。
しかし周りには高いプライドが故に見栄を張ってしまう。すごくよくわかる。

構成が細かくて、小さな伏線が大きな転換点で用いられていたり感情の動きの結果や原因もわかりやすくてすごかった。

きっと彼女は東京に戻っても同じ生活は繰り返さないはず。きっと成功できる。
脚本の構成が緻密にうまく組まれていると感じました。長編映画ですが、脚本がまず良いので飽きることなく最後まで物語に引き込まれます。 泣きやという職業に目をつけたのもとてもいいです。女性監督特有の柔らかさがあり好きな作品。
ragii

ragiiの感想・評価

3.9
最近注目を浴びている女性監督 藤村明世さんの作品

地元、和歌山(正確には隣の海南市)が舞台の作品なので、テンション上がります!! 色々と粗い所はあるし、リアリティってゆう部分で引っかかった所はあったけど、それはあまり気にならなかった。

心情の変化していく様子

泣き屋と役者の違い

停滞気味の前半に始まったかと思ったら中盤後半へのスムーズな流れ、そして静かだけれど印象的なラストカット

この3点だけで観て良かった。

まだ27歳って事に驚いたのと、これからが楽しみな監督さん
今後より注目しとこ
私の出身地で、ロケーションということで期待値高く、上映館を探しに探して、ようやく見ることができました。

結果は、残念の一言!

若い監督、スタッフが一生懸命に頑張っていることだけはわかるのだが、それだけでは、映画にならないということの典型的な作品。

いろいろ言いたいことはあるが、一番の問題点は脚本でしょう。

主人公の亡き姉が、『泣き屋』をやっていたことに全く説得力が無い。
『泣き屋』は『死者と遺族をつなぐ役目が・・・』と言われても、戦隊もののヒーローが突然『俺たちが地球を守るのだ・・・』の台詞とおなじくらい納得感が無い。

若いうちに、自分たちの思いを映像表現して(したつもりで)、自己満足しているだけに思えた。
自分の周り数メートルだけの人ではなく、もっと広く周りを引き込み、共感させることが必要なことをわかって欲しい。

そのためには、脚本にもっと時間をかけて、熟成させることが必要なのでは。

この情熱を、もっと膨らませて次回作に取り組むことを期待します。

クラウドファンディングには協力を惜しみません。
ぎこちない演技、稚拙な演出、スクリーンの裏に文字が透けて見えるような脚本、遺体も、遺影すらも演技できておらず、方言の使い方も中途半端、子供の好物のハンバーグを食べるシーンは皿しか映らず、色々足りてなくて、そして要らないところで過剰で、とにかく未熟さの痛々しい作品。
でも、「誰が見ていなくても、人は泣くことができる」、逆説的だがそのことの意味を訴えかけることに成功していて、そこが光っていると思う。
大切な人を亡くしても、自分の夢に惨めにも挫折しそうになっていても、案外人は泣けないものかもしれない。
女優や泣き屋になって、そうして人の前で泣くことくらいたやすい、と考えるものの、泣けない。
それが、泣き屋以外誰も参列者のないある葬儀で、はじめて涙がこぼれる。死者のために、自分のために、涙が流れる。その涙が、上映開始から長いこと待って、やっと美しい。そこから再び余計に感じられるシーンをいくつか挟むものの、ラストの車窓をバックにした涙が、クリシェではあるが心を掴む。冒頭のオーディションで泣けていなかった場面から、そこまでつながった一本の糸が見る者の琴線と共鳴する。
本当に泣くことの難しさと尊さを思う。
映画どうこう以前に脚本が素晴らしかった。
27歳の新人映画監督が撮った上に書いたオリジナル脚本だということを抜きにしてもクオリティ高くないですか??
無駄なシーンが一個もないし、主人公の成長譚としてもまったく無駄なく感じた。

カップ焼きそばにチューブの生姜ぶっかけて食べたくなる映画。
この監督、名前覚えとこうと思った。
見栄を張り、意地を張り、ついにはパチンと張っちゃったり。売れない女優28才が故郷で「泣き屋」をする羽目にあう物語。いやこの泣き屋、この先日本では意外と需要が出るかもしれません。前半はやや冗長ながら、物事が上手くいかない程に映画そのものは嚙み合いだして、終盤の静かなクライマックスにはビールのような後味の良さが残りました(いや自分飲めないけどね!)。
カップ焼きそばにソノ薬味はダメだけど、涙にアノ表情は合うのかも。好篇でした。

あと余談ながら、和歌山在住の自分にはけっこう見知った場所が。そして松源協賛!どうせなら♪今日も予算が余ったわ~を流して欲しかったなぁ。
ゆー

ゆーの感想・評価

1.8
見たことある景色が出てくる!と楽しみに観に行ったのだけどストーリーはだらけてしまったし紀美野町のいい景色がほぼなく松源が出てきた所だけテンション上がった…主役の女の人より子役の方が上手かったし…会員デイで¥1100で観たのだけどそれでも損した気分でした
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