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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのtonoのレビュー・感想・評価

4.0
アンヌ・ゲゲン先生による落ちこぼれ達の再生の物語(実話)。

「アウシュビッツ」という高校1年生にとっては難しいテーマでの歴史コンクールへの出場。生徒たちは最初は拒否反応を示すが、ゲゲン先生の厳格ながらも優しい指導により次第に真剣に取り組むように。そして、遂に生存者との対面。眼の色が変わる生徒たち。

日本では到底考えられないが、1つのクラスに「29」もの人種・民族が混在しているというのもフランスの複雑な歴史の象徴であり、本作では人種や宗教の多様性から生じる摩擦が随所に散りばめられ、教育の現場から現代のフランスが抱える問題を垣間見ることが出来る。

生存者が生徒たちに語るシーンが最も印象に残った。番号で管理され個性が失われることの恐ろしさ。諦めず正義を勝ち取る信念の強さ。本作ではフランスにあった強制収容所に触れるところも興味深い。

今年は「帰ってきたヒトラー」(独)や「アイヒマン・ショー」(英)等、ナチスドイツに関わる作品の公開が多く、テーマやジャンルはそれぞれ異なるものの、並行して観てみるのも面白い。

試写会@アンスティチュ・フランセ東京
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