このレビューはネタバレを含みます
施設内の日常風景、園長が事あるごとに求める握手、障害者の社会復帰の話等々。
繋がるということ、輪、境界、枠
といったことを強く意識させられた映画だった。
自分自身の生きている社会、コミュニティ、アイデンティティ、自分の健康状態、性別。
いろいろな枠や境界があって、その中で生きている。
必ずしもそういう境界を外すことを良しとしないながらも、施設を通して障害者と健常者の職員(園長の言う「自分たちと彼ら」)の境界が溶け合って幸せな生活を送っているのが見えてくる。
『幸福は日々の中に』
タイトルにあるように、そういう枠組みを外して、手を取り合い、生きていく。
手の届く範囲に幸せは見えるよ。
という温かいメッセージに思えた。
彼らの世界では僕が出来ていない"意識"という枠が無い。
それってやっぱり幸せだなって思うし、それに対して憧れのような感情が湧いてくる。
映画館でじーっと眺めていると温かい日常に溶け込んだような感覚になった。
映画館で見れて良かったと思う。
枠があるから安心していられることだったり、枠があるから見えるものがある。
そういう枠、境、を意識することって実はとても重要なのかも。
うまく言えないけど、不思議なパワーのある良作だった。
ラストシーンはひとつの理想郷に見えた。