うめ

田園に死すのうめのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
3.7
 えーっと…まず言えることは寺山修司について何も知らないという方はいきなり観ないほうがいいということ。この作品は寺山修司にとって、とても私的な作品となっているからである。できれば、寺山修司の半生と作品幾つかを読んだ上で、こちらの作品を観ることをお薦めする。
 今作は、15歳の寺山修司と現在の寺山修司が出会うある接点について描いている。特に、「時間」と「母子関係」についてだろうか。またそうしたテーマの土台には「生死」が漂っている。青森の恐山付近を舞台として描いていることからもわかるように、生と死(生者と死者)が入り交じる空間が全体的に形作られている。そこからさらに、日本の村の因習や伝承と言ったものも含むことによって、日本独特のねっとりとした執念や怨念を感じ取れる。だが、それは同時にまとわりつくように美を纏う。死の匂いのする美。恐ろしくも美しい。そんな美しさについつい引き寄せられてしまう映像の連続である。
 これ以上は私の勉強不足もあって語ることはできないし、語れば語るほどこの作品を取りこぼしてしまう気がするため、ここまでで。…しかし、すごいなぁ、寺山修司。なんか、かなわん。
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