すたんぐ

デッド・ガールのすたんぐのレビュー・感想・評価

デッド・ガール(2015年製作の映画)
4.5
2015年にナマニクさんが紹介していた作品。
【ストーリー】
デスメタルが好きなリンカーンがある日、学校で一人でメシを食べながら絵を描いていると、いじめっ子に絡まれてしまう。牛乳をひっかけられ、殴られ、その様子をスマホで撮られ・・やり返そうとしないリンカーンも我慢の限界。相手の顔面にフォークを突き刺してしまう。
リンカーンは、砂漠にある甦生施設に送られるけど、問題児ばかりの施設でもいじめっ子に目をつけられ、いじめられるようになってしまう。同じことを繰り返さないよう、やり返そうとしないリンカーンだったが、自分を気にかけてくれるケイトリンという女の子から「やり返しなよ!」と言われ、ある日、いじめっ子のリーダー格であるウィリーを殴ってしまう。すぐに反撃にあい、ボコボコにされたリンカーンはなんとか逃げ出し、薄暗い倉庫に入って隠れる。「みんな、くたばっちまえ!」そう呟くと、どこからか少女の声が。
「私たちで一緒に彼らを全員殺そうよ。」
次の日、ウィリーが血まみれの死体で発見される。自殺のようだ。最初は嬉しかったリンカーンも、ウィリーが突然自殺したことがどうも気になる様子。そんなリンカーンの前にモイラという血まみれの少女が現れる。
あの倉庫での声の主である。モイラの正体と目的とは一体なんなのか。

【感想】
いじめられっ子のリンカーンが呼び出した復讐心の塊モイラちゃんの凶行が血みどろブッシャーな感じで素晴らしいアメリカ産ホラー。
モイラちゃんは自分が負ったダメージと同じダメージを相手に与えることができる。例えば、モイラちゃんがカッターで喉元を裂くと、相手の喉元も裂かれるといった具合。自らを痛めつけることで、いじめっ子を血祭りにあげていくといった感じでこれがかなり痛々しい。自分から動こうとはしなかったリンカーンが、自分がモイラを呼び覚ましたせいで、次から次へと血が流れてしまい、罪悪感を感じてモイラを止めようと男になる展開もすごくよかったです。いじめられているときの、フツフツと心の底から湧きあがるような怒りの化身がモイラなのかなあ。何人殺してもモイラが救われそうになくて、それがなんだかやりきれない。
後半、モイラがなぜ自殺したのかがわかり、目的もはっきりしてくる。
決着のつけ方といい、厭な映画でした。ここまで感情が爆発したホラーもなかなかないのでは。負の感情炸裂+血祭り映画です。
負の感情を揺さぶるようなノイズのような音楽もすごくよかった。
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