森泉涼一

トリプルX:再起動の森泉涼一のレビュー・感想・評価

トリプルX:再起動(2017年製作の映画)
3.8
エクストリーム・スポーツとスパイアクションの融合という斬新なアイデアに加え、主演にヴィン・ディーゼルを抜擢という万全の体制で大ヒットとなったのが15年前。2005年に製作都合で主演がヴィンからアイス・キューブになったことでおおこけを食らい日本未公開となったネクストレベルはなかったこととして、今やエクストリーム・スポーツをアクションに取り入れただけでは観客の目は肥えてしまい15年前と同じでは受け入れられなくなってしまっている。それを踏まえても今回の「再起動」は今の時代にあった映像技術とアクションを交えることで新たなエクストリーム・スポーツアクションを豪快に披露した上にヴィンのカムバック以外でもアジアの名立たるアクションスターやUFCのスーパースターとワクワクさせるメンバーが揃ったことで時代遅れと懸念していた不安を見事に払拭してくれた。

ヴィンがこのような映画に出ると「ワイルド・スピード」とどうしても比較しがちで予告の時点で区別がつきにくかったが、ワイスピと比べると彼の肉弾戦は少なめという印象。その分、スケボーやバイクとエクストリーム・スポーツアクションに徹しているのは「トリプルX」の魅力ではあるが、今やあのマッスルボディでスケボーに乗り壁の側面を疾走したり無駄に回転を決めたり柔軟アピールをされても違和感しかなく凄さよりも笑いが先行してしまう。これもワイスピで積み重ねた経験あってのものだが比較されるのは運命かもしれない。

ヴィン以外では「ローグ・ワン」でも記憶に新しいドニー・イェンが敵役としてヴィンと対峙するシーンが多いほか、「マッハ」のトニー・ジャーも出演と製作会社に中国の映画会社が絡んでいるのが関係しているのかは定かではないがキャスト以外でもアジア圏を強調している印象が強い。ただ、ヴィンの重たい体をカバーするといっては失礼だが、小さい体で素早い動きは本作のテーマに沿っているだけあり見映えがいい。ヴィン以外にも個人的に驚きだったUFCのスーパースター、マイケル・ビスピンも登場し、「アジアを代表するアクションスター×アメリカの様々なジャンルで活躍するスター」という構図で見れば激しく右往左往するエクストリーム・スポーツを合わせても違和感ないだろう。最後の最後で登場するスペシャル・ゲストにも再起動を望んだのかはさて置き、この起用も個人的には大歓迎。
森泉涼一

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