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ロスト・バケーションのエイブのレビュー・感想・評価

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)
3.0
夏にピッタリのワンシチュエーション映画ではあるが、個人的にはサーフィンシーンのイケイケな音楽と映像の連続にやきもきした。スローモーションを多用しているのもどうも間延びしてしまっているように感じてしまってあまりノレなかった。どちらも緩急の差を付けたかったのだろうけど。
ところどころ映される俯瞰ショットは広大な海の美しさが際立っており、狭い岩礁に残された主人公の海の恐怖との対比になっていてよかった。それとテレビ電話の映し方が絶妙なダサさで面白かった。クラゲのシーンはファインディング・ニモを思い出してしまった。

物語自体はなかなか象徴的で、母≒海という胎内回帰願望として表象されているようで、主人公は遠くの島にも妊婦の姿を重ねている。
母親が現れる場面では、主人公の母を見つめる視線が生まれたての赤子と同じような視点となっており、母の死を乗り越えて新たな始まりを示しているようだった。そういう意味では、サメは母の死という絶望の象徴であったともいえる。

監督自身が述べているように、ゼロ・グラビティを意識しているのがよくわかる。
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