Pecco

午後8時の訪問者のPeccoのレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
3.0
ダルデンヌ監督作品初視聴。

長尺、楽曲なしで同じようなシーンが続くので観る人を選ぶ作品。
余程人物の内面や状況理解を深めようと映画を観察できる人でないと厳しいなぁ。

本作の主人公・ジェニーは全編通して感情を表に出すことがないし、研修医に厳しく接し、『患者に感情移入し過ぎるな』的なお説教をしたりするので一見冷淡な人間に感じるかもしれないが、実は人一倍責任感と感受性が強いのではないだろうか。
自分の部下でもない研修医に医者にしての気構えを説くなんてわざわざする必要はないっちゃーない。
研修医の将来に期待を込めるが故のお説教だったのだろう。
そして、自分が救えなかった女性に対しての行動は言わずもがな。
自分の罪悪感を拭い去る為の行動と言えなくもないが、いずれにせよ多忙な中、危険を冒してまで執念深く追えないだろう。

正直、退屈であることは否めないが、楽曲を使用して感情移入を促進したり、奇抜な演出で集中力を散らしたりすることなく、真っ当な手法で人間描写に向き合っている良作なのは間違いないし、本当にいい脚本で監督の手腕が確かでないと怖くてできない演出だ。
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