めばち子

ラビング 愛という名前のふたりのめばち子のレビュー・感想・評価

5.0
一つ一つブロックを積み重ねるように、静かに紡がれる家族の物語は、その確かな重みでもって、我々に彼等が貫く形のない『愛』の在り処を刻みつける。
最高裁の判決を待つ間の、特別ではない家族の営みの、その描写の強さは、結果がどうあろうと、私たちの『愛』は変わらないことを告げ胸を打つ。
或いは本作の白眉たる膝枕のシーンに、あの記者でなくても引き込まれるのは、そこに誰も侵すことも壊すこともできない『愛』の、その確かさを見てとるからだ。
ラストの広大な土地にまた一つ一つ積み重ねられて行くブロックを通して、まだ見ぬ彼等の家とその未来に思いを馳せながら、どうにも涙を止めることはできなかった。これ程『愛する』というタイトルがしかと胸にくる作品もないだろう。間違いなく今年のベストの一本だ。
めばち子

めばち子