ayuka

ラビング 愛という名前のふたりのayukaのレビュー・感想・評価

-
私はアメリカっていう国が好きで、たぶんそれは、アメリカに住む誰もが意見を持てて、間違っていると思った社会に対して声を持つことができて、社会をかえることができて、それだからこそ人々がパワフルで一丸となれるから。あらためてそれを感じた。

1つの手紙が自分の人生だけでなくて社会を変えることができる機会があるのがアメリカなんだな、と思った。そこがメインの焦点ではなくてもね、すごく引っかかりの大きい部分でした。

また、差別されるどんな人々にもいえること、いや、すべての人々にいえること。あなたたちは差別に値しない、と。映画のなかのふたりを見ていて、どうして健全じゃないと言えようか。とくに一般的に言って"2人の間の愛"については批判が絡むことが多いけれどその2人の愛について周りが何を言えるのだろう。ミルドレッドの膝に頭を載せるリチャード、ふたりを見ていてそこに溢れる、どこの白人夫婦に存在する愛とも変わらない愛を感じられないとでも言うのだろうか。

今はアメリカは大変な時期。60年代はみんな社会を変えようと運動した。私はその時代に生まれればよかった、とか憧れているけど、その土壌にあったのは納得できない社会や思想だった。そして今もそれは変わらない。みんな社会を変えようと必死に声を上げている。今のアメリカ社会には私は眉をひそめるけど、声を上げて行進する人々には共感するし応援するし参加したいほど。どんな時代にもこういうことがあってラビング夫妻も社会を変えた。ヒーロー視されることが嫌でも私にとって社会を変えようとした人たちはみんなヒーローだなあ。

映画を見つつアメリカ社会の勉強でした。アメリカという国を勉強してきたり見てきたりした私にとっては、見てきた社会の中や奥底にこんな歴史があり、それが今のアメリカ社会に繋がっているんだなあ、と思うと、ただことではない思いでした。
ayuka

ayuka