もちごめ

彼女と彼女の猫 -Everything Flows-のもちごめのレビュー・感想・評価

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・僕は彼女を探していた。
僕が彼女を探しているのは、彼女が僕を探しているからだ。
・頑張ってるんだよ、あたし。
なんだか色々わからなくなってきちゃった。
・彼女の抱えた痛みが、僕の身体に伝わる。
・扉の向こうの不完全で少し残酷な世界。
そんな世界を精一杯好きになろうとしている、彼女。
・僕は僕の時間を生きていて、
彼女は彼女の時間を生きている。
だから、2つの時間が交差するこの瞬間が
僕には何より大切なんだ。
・世界につなぎとめてくれていた。
・何があったのか僕はもう覚えていない。
僕らは何もかも覚えておくことは、できない。
覚えておくのは、本当に大切なことだけだ。
・遠くのものは小さくぼんやりと 
近くのものははっきり見える。
思い出も同じだ。昔の事はぼんやり。
さっきのことははっきり覚えている。
…はずだった。
近頃はなんだか遠い昔のことを、ついさっきのことのように思い出してしまう。

・遠くの知らない街の匂いが広がる。
そういえばここも初めは知らない匂いがしていた。
・ともか、ごめん。
今、私だめなんだ。
なんで私、先に進めないんだろう。
もっと大人なら、もっと強ければいいのに。
・彼女の痛みと苦しみが僕の心臓を鷲掴みにした。
・明るい時間は短くなり、凍てつく寒さが
世界を覆っていた。
傷ついた彼女は、まるで大きな猫のように眠り続けている。

・あの頃と同じ笑い
・僕はこの音に強い憧れを持っていた。
規則正しく力強い音。世界を動かす心臓が、
世界の隅々まで力を巡らせる音だ。
・僕と彼女が暮らしていた部屋。
もう僕の時間は彼女と交わらなくなってしまったけど。
世界は動き、僕らは巡り続ける。
僕は彼女を探していた。長い長い旅の果てにきっとまた、出会うことを願いながら。
・君は決して強い人ではないから。

・柔らかな雨のカーテンの下で、僕は決して思い出せない長い旅のことを考えていた。
・いろんなことを忘れてしまったけれど、
微かに覚えていることがある。
・地軸が音も無くひっそりと回転して、彼女と僕の体温は世界の中で静かに熱を失い続けていた。
僕らの熱が吐く息が、星を巡るように
僕も彼女も星をめぐり、もう一度出会うために、ここにやってきた。
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