トーテン

サバービコン 仮面を被った街のトーテンのレビュー・感想・評価

3.1
どんな変な街なのかなーって思ってたらちょっと違うかもな映画でした。

黒人差別がなんか絡んでくるのかなぁと思ったらそれも違う。
自分が感じたのは善良な家族を謂れのない偏見と利己的な理由で迫害する集団暴力が行われている真横で、小規模ではあるが真に残虐な犯罪が遂行されていることに誰も気付いていないというのがこの作品のテーマなのかなぁと。

同時進行する保険金犯罪と黒人家族への迫害のエピソードで共通しているのは悪の正当化。
一旦加速し始めると歯止めが利かないのも規模は違えど同じ。
片方はテレビで報道され、片方は未だに気付かれもしない不気味さ。
黒人家族も少年も大きな傷を負ったが、その原因となった加害者達はもうおらず、誰も語らない。
インタビューに答えた住民はまだ黒人家族が悪いと言う者もいるし、それを正当化する理由まで並べる始末。
まさに後味が悪い映画でした。

が、こういうの大好きなんでイイですね!
マット・デイモンがビンタされたり、脅されて狼狽する感じとか本当に良かった。
開放感からか、地下室で盛り上がりすぎて子どもに情交シーンまで見られるとかだいぶ詰めが甘い感じがあって、そりゃさすがに子どもも誰が悪い奴か気付くでオヤジさんみたいなダメオヤジで良かった。

あとは周りがダメダメすぎて真にまともな大人だった伯父さんが格好良かった。
ニッキーを助けたあとの姿とかマジ男前。
大人は子どもの前ではやせ我慢ですよね。

という感じですが、何か秘密がどうとかミステリィ的な部分を望んで見てしまったのでそこは肩透かし食らってしまった感がありました。
最後のキャッチボールはオヤジから選べと言われて自分で考えて選んだ結果なんだね。
今も残る塀の上からボールをやり取りする彼らの未来を考えると…うーむ、結構悩まされる作品でした。
トーテン

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