何と言う群像劇、何と言うシナリオ、そして主演のオーラ！
血みどろ埃まみれのカーキ色が入り交じって文字通りの泥沼を演じているのに、ひたすらに映像は美しく、飛び散る臓物にはハエがたかり、死んだ人間の耳朶はすべからく食い千切られる。
そして驚くべき絵作りと、それに応える編集の業。主人公の信仰の物語と、日常から戦争へと移行する二つのストーリーのスイッチも無駄がなかった。
ゴチャゴチャしているのに意味不明なシーンが全く無く、文字通りため息が出た。
この仕事はチームワークの結晶でしかないし、この壮大な作品のイメージを伝えきったメル・ギブソンはやはり凄かった。
