終始胸に湧いて、ついぞ消えることのなかった嫌悪感。
終盤も終盤に差し掛かって、なるほどこれかと合点がいった。
本作では『人とは』が描かれているのである。
いやいや、少し待たれよ。
僕(ら)が思う『人とは』は希望の色眼鏡で見たものではないか。
そんな風にも考えてみる。
だとしたら、本作で描かれるなんでもない存在こそ『人』なのでは…。
そんな訳ない。そう、そんな訳ないのだ。
僕らは無機質なうねりに放り込まれても、ふとした瞬間に激情を手に出来る。
膝をつき手をつき慟哭に咽ぶこともある。
そうやって僕らは今に至っているのだ。
数日経った今でも、違う意味で興奮冷めやらぬ作品である。