記憶が頼りにならなくなってしまった主人公は、手紙という記録を頼りに復讐の旅に出る。
予告編のラスト5分の衝撃、という言葉と、主演のクリストファー・プラマーは、サウンドオブミュージックでもナチスドイツが背景にある物語を演じているが、この数十年の時が人間として俳優としてこのテーマに与えるであろう深みに興味を持ち鑑賞。
予告編の言葉と、記録を頼りにするイメージがメメントと重なる。
正直、予告編の時点で結末はわかってしまうためどんでん返し感などはない。
しかしそこに、老人特有の、震えや呼吸、動き、妻がいるはずの日常から一変、失った悲しみを何度も繰り返す様などが盛り込まれることでより、生々しさを増しているように感じた。
この平和な日本に生きている私と、当事者となった方やその家族とでは感想が大きく異なるのだろうと感じた。登場人物それぞれの憂いと決意を感じさせる目が印象に残る映画だった。