やっぱりカルカン

アリー/ スター誕生のやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
3.8
若干ネタバレかも。
ネタバレ厳禁な方は戻ってください。

歌手になりたいアリーが主人公で、ジャックに出会って売れてキラキラ輝く大スターになる話かと思ってた。2人のシャロウのシーンはテレビでもよく流れていたので、きっと2人一緒にCDを出したりツアーをまわったりして段々世間にその才能が認められ、売れて最高の幸せを掴むんだろうと思ってた。

…とても辛い映画だった。
実際はちょっと違う展開で、見ているうちにこれはジャックの物語なんじゃないかと思い始め、途中から彼のシーンでずっと涙が止まらなかった。レビューもすぐに書く気になれなかったぐらい、今思い出してもじわじわと涙が溢れてくる。

個人的な意見としては、アル中の家族がいる又はアル中の家族がいた方および当事者の方は非常にショッキングかつ胸が痛む内容になっているので視聴にあたっては、じゅうぶん精神的に余裕のある時にご覧になられるようお願いしたい。(薬物中毒も同様)

やはり、優しくて不器用で繊細な人ほど酒や薬に溺れてしまうのだ。有名な談志師匠の名言『酒が人間を駄目にするのではなく人間は元々駄目だということを酒が教えてくれる』が頭をよぎるが、関わった人はみな「あの人は酒(薬)さえなければとても良い人だから」と言うケースが多い。この映画についても同じではなかろうか。

・見終わった後
最近見た映画の中では、見終わった後の感覚がなんとなくラ・ラ・ランドやボヘミアン・ラプソディに似ているような感じ。個人的には先述の理由により、どっと消耗して、終わった後しばらく放心状態になってしまった。作品としては序盤のシャロウが感動と高揚のピーク、そこから真逆の展開で大いに感情を揺さぶられたので高得点。私にとっては、見終わった後で何日もこの映画の事を考えてしまうであろうと思われる強烈な映画だった。

・気になった点
現実となればジャックの女性ファンは突然湧いてきてイチャコラし出したアリーの存在が許せないと思うので、そう簡単には受け入れられずアリーアンチもそれなりに居るだろうという点、あとは1時間経った頃に「ここまでで半分か…」とストーリー進行が気になったが案の定(演出上わざとかもしれないけど)最後にかけてのクライマックスがややさっぱりし過ぎのように感じた。
そしてやっぱりあんなに素敵なのに独身だったし何か致命的なポイントがあるに違いない、と最初に思っただけに余計辛かったなぁ…