私がこの世の音楽アーティストの中で一番尊敬している人がレディガガです。彼女のことは、歌う聖母だと思っている。エンターテイナーに徹するあまりにポップスターとしての認知度が高くなってしまった部分がある(日本では特に)と思うんだけど、人の心に寄り添うソウルフルな歌を歌うシンガーソングライターとしての描写がきちんとされていて良かった。終わった後に一緒に観に行った友人がぽろっと「ガガってああいう歌も歌えるんだね」と呟くのを聞いて、月並みだけど「そーーーーーうでしょうそうでしょうそうなんですよ」とご満悦になった自分がいた。人にそういう認識を落としてくれただけでこの映画には価値があった、ガガオタクとしては。
他人の上澄みの評価に殺されて自分の歌の価値に自信をなくしていた、だけどジャックに見初められ手を引かれたことで、アリーが初めて大勢のオーディエンスの前で、歌う喜びとともに燻らせていたシンガーとしてのプライドを放出するシーンは、涙が止まらなかった。
