おいも

ドクター・エクソシストのおいものレビュー・感想・評価

ドクター・エクソシスト(2016年製作の映画)
4.5
※後半ネタバレを含みます※

エクソシストだけど宗教は関係ない、ここがなかなか新しくて面白かったです。
主人公は人の夢の中に入れる特殊能力があるただの一般人ですが、それを危険視した悪魔のマギーに襲われて妻子を奪われるという悲惨な過去を持つ男性エンバー。
妻子が奪われた事故により自身も車椅子生活になるが、それを機にマギー絶対殺すマンになりいくつもの悪魔憑き患者を治療と称して助けつつマギーの行方を探します。
やっと見つけた手掛かりは、マギーに取り憑かれたであろう11歳の少年。
彼を救うと同時にマギーへのリベンジを果たせるのか?というのが今作の見所なのですがはたして……


※※この先ネタバレ注意※※









個人的にエンバーがめちゃ好きで、別に神様なんて知ったこっちゃなくて、敵が悪魔だろうが何だろうがどうでも良くて、とにかく妻子を殺したマギーってやつさえ殺せればそれでいいっていう割り切りが清々しいです。
かといって全く人道的じゃ無いのかと言えばそうでもなくて、子供がピンチなのに酒に溺れてヘラヘラしてる父親に対してはあからさまな嫌悪感をぶつけて心臓停止1歩手前まで首締めるし、息子に会えず苦しむ母親にも不器用ながら「絶対助けるから頑張ろうや」的な事も言えちゃう人です。
やっとこさ少年助かった!やったー!と思ったら思惑通りエンバーの体にマギーは侵入してて、妻子が亡くなった事故の直後に記憶が飛んで皆生きてる未来に書き換えられている。
足も動くし妻子も無事、あぁ良かった夢だったのか…って所があまりに残酷で胸が詰まりました。
もちろん途中でこれが夢だと気付くのですが、気付いてしまったエンバーの泣き顔が切なかったですね。
君たちは偽物だけど、それでも僕は君たちを愛している…まじでマギーなんて悪魔みたいなやつやねん…あ、悪魔だったわ。
10秒だけ正気に戻れる薬で何とか現実に戻り、マギーを体内に宿したまま窓から飛び降りて自殺を図ります。
死よりも残酷な運命から逃れるためには時として自ら死を選ばなくてはいけないのです。
それを体現してやっとエンディングを迎えるのでした…ちゃんちゃん。

とはならないのがこの映画の怖いところ。
せっかく彼が命をかけてマギーを始末したのに頑張って蘇生させてしまい、最後の力を振り絞り別の体に憑依してしまったマギーまじでしぶと過ぎる。
ふっと意識を取り戻し、関係者と手を握るシーンは「あっ…アカンやつや…」って悟りました。
ここまで頑張った全ての苦労が水の泡。
あのままエンバーを死なせてあげていれば…でも助けてあげたいのが人間の心。
そこを上手に悪魔に突かれてしまった皮肉なラストだったなぁとため息をついたのでした。
おいも

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