ひかげん

21世紀の資本のひかげんのレビュー・感想・評価

21世紀の資本(2017年製作の映画)
4.0
 Thomas Pikettyさんの『21世紀の資本』、一度読んでみたいと思ったがAmazonで6050円、947ページと書いてあり、経済のシロートが読む本ではないと断念。
 それが映画になったということで鑑賞。

「映画」としての評価はしにくいけれど、18世紀から21世紀に至る「資本主義に関わる世界の歴史の流れ」を俯瞰するには大変有用な内容でした。

 普段の生活にも本来は深く関わっている経済ではあるけれど、普段の生活ではほとんど意識することがない。学生時代、自動車を購入するのに初めてローンを組んだ時、働き始めて給与明細を見た時、「経済を知らなくてはならない」と漠然と感じたまま数十年放置。
 2018年にWebで投資信託の連載記事を読み始めてから興味を持ち、遅々とした歩みながら2019年に証券口座を開設、投資信託を始めたことで、経済や資本主義という世界に初めて足を踏み入れた気がした。

 町山智浩さんの映画解説を日常的に聴いているのだけれど、『21世紀の資本』を観たことで、町山さんが映画の背景としてよくおっしゃっている世界の情勢を、「経済と戦争」という視点から改めて眺めることができたのが一番大きな収穫。

 心理実験の結果として「ただの運でしかない経済格差を、富者は自身の手柄として考えたがる」という人間の持つ傾向が、心底恐ろしかったが、実際に世界がそのようになっている理由として深く納得した。
 そして何より、今後の世界をどう築いていくかを明示している勇気に胸が熱くなった。

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