ルーク大佐

潜水艦クルスクの生存者たちのルーク大佐のレビュー・感想・評価

3.6
国、人種を問わず、海で生きる人々の間では「シーマンシップ」という思想がある。仲間意識のようなもので、トラブルに見舞われたらカラダを張って助けるというもの。

特に海軍ではこの思想が深く根付いており、戦闘を行う敵同士であっても、遭難者が出たら助けることがモラルとして大切に引き継がれている。紳士の振る舞いだ。

たとえば、真珠湾攻撃の際に日本人の戦闘機パイロットが米軍艦に墜落したときも、米軍はバラバラの遺体を丁寧にくるんで海に埋葬している。

シーマンシップは海軍の誇り。
いったん海に出たら一蓮托生なので、兵隊同士は厚い信頼感で結ばれている。そして原子力潜水艦の場合は、一度海に潜ったらずっと海底を這いまわっているため、兵員同士のつながりはさらに深いと言われる。

本作はロシア軍の幹部がシーマンシップに反することを恥じることもなく行うので、イラ立ちすら感じた。乗組員の命よりもロシア軍の体面がすべて。いかにもロシア人らしい振る舞いによって、無垢の軍人が悲劇に直面するのが、なんとも痛々しい。

事実ベースの話なため、臨場感はある。ウクライナ戦争でバレちゃったけど、ロシア軍幹部ってホントに下衆の集まりだね。

レア・セドゥが母親を演じているが、他作品のような地雷女ではなく、幼い子を抱えて必死に生きる姿がハマってた。
潜水艦映画に大ハズレはありませんな。
ルーク大佐

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