今まで見たドキュメンタリーの中でいちばんshocking。追い込まれた時、人間のする選択は果たして正しいのか。
デザインはどこまでできて、どこまでの力があるのだろう。
私たちはどこに生まれどこに生きているのか。何が私たちを作るのか。景観を作っているのは私たちなのか。
人の命が保証されなければならず、それが当たり前の現代。自然と隣り合わせに生きていたはずの人間がいつしかそうできなくなっているリアル。超高層ビルと防波堤、そして元の地盤を20メートルも上げて住み直す人間。
海と共に生きている人の生活を、こちら側とそちら側で分けてしまう防波堤を見て育った次の世代の子供たちは、海という景観をどう捉えるのだろう。景観がそちらとこちらを繋ぐものだとしたら、もはや子供たちが見る海は景観ではなくなるのかもしれない。幼い頃にできる景観の認識と、多分そこからできてくるセンスみたいなものが世代ごとに果てしなく違ってしまう。ヨーロッパと日本の景観の違いの話も そうか、と納得。
これは被災地だけのものではなくて、今の日本全体が抱えている矛盾と少しの正義の塊で、超高層ビルに住む人間、自然と死に打ち勝とうとするこの人間の"進化"は何百年が経ったら"進化"とは呼べなくなっているかもしれない。景観に対応できなくなった私たちの劣化。
・・みたいなことは、実際に自分の街が存在しているから語れることでもある。
死に直面していないから言えるたわ言でもある。それでも死の責任を国や行政に求めるくらいなら死は必然だと諦めよう。宗教的な、それこそ究極の生と死という哲学にまで話が及んでしまう。