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東京喰種 トーキョーグールのRのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

映画館で友人2人と。

2017年公開の「東京喰種」の実写化作品。

監督は萩原健太郎。

漫画版は無印の頃から、その世界観とキャラクターがドンピシャでずっと追ってきたくらいのファンだった。

だから実写映画化と聞いた時は、ご多聞に漏れずものすごく不安だった。

何より不安だったのはこれが長編映画初監督となる萩原健太郎という人。

誰だ!?どっから引っ張ってきた!?

不安しかねぇ、けど、やっぱりすげぇ興味は湧く!!ということで観てきました!!

結論からいうと…。

全然、ダメ…かと思いきやっ!!

個人的には断然推したいくらい、かなり満足な出来でした!!

話はある事故をきっかけに人を喰らう「喰種(グール)」になってしまった大学生、金木研(窪田正孝「ラストコップ THE MOVIE」)が喰種の世界に足を踏み入れていくというもの。

原作でいうと1巻から3巻くらいまでの内容をまとめたような印象。

まぁ、原作はそれこそキャラクターがものすごく多いし、人気キャラの捜査官の什造だったり、曲者の美食家グール、月島を出しちゃうとそれだけでとっちらかっちゃうからこの判断は正解(まぁ、それはそれで観てみたかったってのはあるが…)。

それでも、ダークなグールの世界観をかなり忠実に再現出来てたと思う。

その勝因の1つがルック構築力にあると思う。

暗めなトーンと無機質なカメラの絵作りのおかげで、全編かなりシリアスな絵作りが出来てたので、ともすると安っぽい美術になりがちなシーンごとの舞台も雰囲気をそれほど壊さずに再現していたと思う。

多分、ここに力入れなきゃ、それこそ目も当てられない出来になってただろうな…。

あと、肝心のグロ描写に関しては、原作も「人を喰らうグール」という題材に反してそれほど直接的な描写はない(まぁ、アウトな表現は後々ぞくぞくと出てはくるが…)分、肝心の描写(首が吹っ飛んだり、臓物を喰らう描写)は結構ソフトな感じなのでそういうのが苦手な人でも多少は大丈夫だろうと思う。

まぁ、だからといって「喰う」描写そのものがないわけではないんだけど、その臓物や眼球も何というかテロっとしてるというかちゃんと血抜きしてあるからリアルなTHE臓物というよりかは見た感じは限りなくレアに近い生肉やそういうスイーツ笑?みたいな感じ。

多分、R指定を下げるために作り手たちがすごく苦労した上での結果だということを踏まえると、リアリティラインとしては、まぁありっちゃありかな。

その分、より力を入れているのが「食べる」という描写。今作では重要な要素でもあるこの食事描写なんだけど、ちゃんと口に寄って咀嚼し、飲み込むメカニズムを通した場面をアップに撮ることで人間ないしグールが「生あるもの」を食べるという「生きる上での必要な行為」に対する尊さをちゃんと提示しているのも良かった。

途中、グールになったことを受け入れず金木が「あんていく」の芳村にもらった袋詰めの「肉」を欲望に耐えきれず、剥き出しにする描写があるんだけど、暗い部屋の中、外の明かりに照らされて金木が剥き出しにするその「肉」だけに焦点が当たった瞬間に、すげぇ引き込まれてたからか、実は唾を飲み込んじゃいましてね…苦笑。

グールでもないのに感情移入しすぎて、1人の観客にそういう欲情を味合わせただけで、この点はもう個人的にはありだわ。

あと、やっぱりね、実写化に興味のなかった作者がこの人ならと推しただけあって、やっぱり主演の窪田正孝がすごい!!

本当にすごいとしか言いようがない。

人間だった時の少し気弱なTHE草食系男子だった序盤から始まり、リゼ(蒼井優「家族はつらいよ2」)に襲われた際の死の危機に直面した目を見開き、怯えきった表情、グールに変容し、人間の食べる物を受け付けなくなった時の吐き出す惨たらしい仕草、空腹に耐えきれず、涎を垂らしながら変質者チックに街を彷徨い危ない演技と、本当にその1つ1つとっても、下手な役者が演じたら、鼻白んだであろう「金木の変貌とその悲哀」を真っ向から恥を捨てて演じきった窪田君に拍手を送りたい!!

なかでも特筆すべきは中盤、親友のヒデ(小笠原海「ハロー、グッバイ」)を傷つけられ激昂したことで遂にグールとして覚醒し、鱗赫を纏った際のあの佇まい。そしてリゼの人格が表出し、狂気と恍惚が合わさったようなあの表情。

笑っちゃう、笑っちゃうんだけど、すげぇや。

観る前は金木としてはすごく背が高いし、どっちかっていうと神木隆之介とか本郷奏多とかの印象が強かったけど、観た後はもう金木は彼しかいないとそう感じられるくらい、最高だった。


他の出演陣も時代の流行に流されない、予算を考えた上での作り手が選びに選んだであろう人選が功を奏し、概ね、大満足な人選(唯一、ヨモさんを演じた柳俊太郎(「ストレイヤーズ・クロニクル」は容姿は良いんだけど、喋っちゃうとその声量の無さからか途端にダメダメ)。

もちろん、出家しちゃった清水富美加(「笑う招き猫」)も男勝りなトーカを演じきっていてすごく良かったですよー。あぁ、惜しいなー。

あと、個人的には大泉洋(「金メダル男」)の真戸呉緒がこっちもすごく良かった。いつもの陽気な感じは鳴りを潜め、冷徹で残酷な捜査官を演じきっていた(「よく喋るネズミだ」「お母さんだよー」…鬼畜すぎっ!!)。

正直、亜門鋼太郎役の鈴木伸之(「HIGH&LOW THE RED RAIN」)を食っちゃうくらいの堂々たる悪役っぷりだった。


まぁ、ラストは少々甘っちょろく安っぽい感じはしたけど、それもご愛嬌。長編のしかも漫画実写化で監督デビュー作としては十分すぎる程の出来だと思う。

確かに原作ファンからすると全然ダメっ!ていう人がいてもわかる。けど、なんというか「デスノート」の実写化第1作目に似た愛くるしさを今作で俺は感じられた。

だから個人的には断固支持したいし、現在大ヒット中の「銀魂」や今週公開の控える「ジョジョ」に負けないくらいヒットして是非第2作の製作を期待したい!!

中二病上等じゃないか!!

本当に観たいんだ、この続きを。

あと、上映者プレゼントで作者、石田スイが描いたキャラクターのコースターがもらえるんだけど、亜門やリゼが当たる中、満面の笑みのヒデを友だちが当てたのに爆笑!!

すげぇ、よくできていて、週替わりでもらえるものも変わるらしいので、まだ行ってない方は是非とも劇場へ!!(まだラインナップにないけど大泉洋版真戸ほしーー!!)
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