ユーザー0012

浮雲のユーザー0012のレビュー・感想・評価

浮雲(1955年製作の映画)
4.0
名作として名高いけれど70年近く前の恋愛映画、退屈さも覚悟したけど、全くそんなことなく、2時間があっという間、面白くてびっくりだった。

戦時中に出会った妻をもつ男と若い女が戦後に再会、それから、くっついたり離れたり…所謂腐れ縁の話。

この男がどうしようもない浮気性で、妻と別れると言いながら決して別れず、二人で出かけた旅行先で別の女と浮気したり…、昼ドラにありそうなドロドロエピソードの連続で、次は何が起きるんだとぐいぐい惹き込まれた。

「でもやっぱり二人で歩いていると、なんだか肉親みたいね」という台詞が二人の関係を象徴していて、突き刺さる。

そして、ラストの切なさがたまらない。

戦後貧しい日本の風俗も映し出され、そんな中で繰り広げられる男女のくっついて離れての恋愛劇に、なぜだか「ポンヌフの恋人」が思い起こされ、視聴後調べてみたら、レオス・カラックスは成瀬巳喜男の熱烈なファンということで、妙に納得した。