シュンギク

銀魂のシュンギクのレビュー・感想・評価

銀魂(2017年製作の映画)
4.0
本筋から脱線した演者の悪ノリ、アドリブの応酬、パロディネタの数々。銀魂原作が持つ要素と監督・福田雄一の作風が見事にマッチングした傑作。

漫画原作にありがちなダイジェスト化されたエピソードの連続にはせず、思い切った構成が見事。キャラクターたちをしっかりと提示しつつ、1本の映画としてのまとまりを見せていた。
SF時代劇という特異で難しいビジュアルも福田雄一の作風だからこそすんなり受け入れられて違和感はなし。キャスティングもほぼバッチリ。期待していなかったアクションシーンも魅力的なものが多かったのも思わぬ収穫。

秀逸だったのはやはりギャグシーン。原作そのままのギャグだけでなくキャストについてのネタや実写化についての自虐ネタ、そして割とタイムリーなものまで。2017年の今だからこそ笑えるネタが豊富。劇場に笑い声が絶えず楽しい空間だった。

福田雄一の演出が過去作以上にキレッキレだった今作だが、その反面シリアスなシーンの演出はやはり平凡だった印象。シリアスなシーンでもキャストに大仰な演技をつけているため、本筋であるシリアスシーンに逆に違和感を感じるという現象が起きていたところもあり。新井浩文や堂本剛、長澤まさみはもっと抑えた演技ができるはずなのに。

とはいえ、笑って燃えるアクションエンターテインメント邦画として仕上がっていたと思う。これほどの大作でも福田雄一成分を色濃く出すのはさすが。
福田雄一作品ということで好みは別れるかもしれないがシリアスとのバランス、という面で1番見やすい福田雄一作品かもしれない。