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餃子のkikiのレビュー・感想・評価

餃子(2004年製作の映画)
4.4
記念すべき700本目

若返り効果があるとされている胎盤の入った餃子を食べる女たち、若さと美しさを追い求む狂気的な欲求と、過去の自分や愛のためにいつまでも若さに縋り付く哀しさを描いた猟奇カニバリズム。

女が若さに執着し狂っていく物語はありきたりだが、この映画がほかの作品を出し抜く決定的な相違点は「赤ちゃんを餃子に包んで食べる」というカニバリズム要素に対する絶対的映像美にある。陳果監督のカメラワークや色彩などといった演出があまりにも素晴らしい。餃子を普通に包んでいるだけなのになぜか狂気さえ感じられる妙々たるシーンに冒頭からかなりの衝撃を受けてしまった。ピンク色の瑞々しい人肉を閉じ込めた宝石のように光を反射する餃子の艶、口に入れて噛み砕いた時に発する薄気味悪い異様な音の巧緻さに感銘を受けた。2004年の香港映画と言う事でチープだろうと勝手な想像をしていたが寧ろその正反対、繊細すぎる。こんなのアリかよ....。好き。
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