2022年度の締めくくり。リアルでシビアな良い映画だ。万人には薦めないし、たぶんもう一度は観ないが心打たれた。
突如耳が聞こえなくなったらどうなるのか。ましてや主人公ルーベンは音の世界で生きてきた人物だ。絶望でしかなかっただろう。感情を制御できず、周りへ怒りをぶつける主人公には共感できないことも多々あったが、その姿はリアルだった。主人公のルーベン役の方の演技が凄くて。目で怒り、戸惑い、諦め、慈しみなど感情が伝わる。
もし自分がそうなったらと思うと、絶望でしかないが、この映画で感じた静寂の世界の美しさは、１つ救いになるんだろう。そんな力を持つ映画だ。
以下ネタバレ。
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手術後の世界は、音の美しさで生きてきたルーベンにとっては更なる絶望でしかなかったはずだ。音楽すらノイズにしか聴こえない。それでもルーとの元の生活が唯一の希望だった彼は「歌が素晴らしかった」と言う。そこで初めてルーはもう元の生活を望んでなかったことに気付く。この静かな残酷さから、その後の静寂な世界の美しさの対比が素晴らしくって心打たれた。受け入れて次の世界に進んでくれていたらいいなぁ。
