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安城家の舞踏會のフクのレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
4.0
敗戦後、GHQ統治下の日本にあって、華族としての地位を剥奪され、没落していく安城家の人々を取り巻く悲哀と人間模様を、吉村公三郎が流麗なタッチで描く。
哀しみを漂わせつつも毅然とした滝沢修、原節子、現実を受け止め切れず半ば自嘲的な態度に終始する森雅之ら主要な出演俳優がそれぞれ素晴らしい演技を見せる。
特にニヒリスティックな二枚目かつ放蕩息子役の森雅之が素晴らしく、後の成瀬巳喜男作品に頻出するダメ男のひな形のようなダメぶりである。
スタンバーグ「モロッコ」を意識したと思しき砂浜で転げ回る逢初夢子や、ひと抱えもある札束を抱えて唐突にパーティ会場に現れる原節子など見所も盛り沢山あって飽きさせない。
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