銀城蘇芳

ガラスの城の約束の銀城蘇芳のレビュー・感想・評価

ガラスの城の約束(2017年製作の映画)
4.7
好きな女優は?と聞かれて、真っ先に浮かぶのはブリー・ラーソン
というわけで、公開当時から気になってた今作を観賞

NYに住むジャネットは会食の帰り道、ホームレスとなった父と遭遇する
思わず無視して帰ったジャネットだが…という内容

前2作もそうだけど、実話なんかい!!
事実は小説より奇なりとは、映画を観る度につくづく思う

凄く難しい作品
大ホラ吹きで家族を愛してるけど、自分に弱くて芯が脆く子供みたいな父親
そんな親を反面教師に育ったら、そりゃ子供はしっかりするわな

「なんで私たちが逃げ出したか分かる?溺れてたからよ!」
「子供を守る義務まで放棄して!!」

父の話す夢物語をワクワクしながら聞いて慕っていたジャネット
信じていた、大好きだったからこそお酒をやめるように促して、最終的に裏切られて
祖母を含めた周りの大人にどんどん幻滅して、偉大だと思っていた父親が自分よりも幼いと感じた時のやるせなさは相当だったろう
父レックスも現実的な姉ローリよりも空想的なジャネットを溺愛してた
一番印象的なジャネットに向ける目は、娘というより理解者や味方にすがるような脆さを感じた

「最低の親父だけど、優しかった」
「父親が娘の面倒を見たら悪いか?」

僕はこの両親を嫌いにはなれない
何にでも突っかかって反省しなくて、どう見ても親に相応しくないくらい酷いけど、子供を愛する気持ちに偽りはなくて
どうしようもない部分が霞んでしまうほどに素敵な思い出があって
悔しいけど愛してしまう
ただの毒親よりよっぽど厄介(笑)

学費が払えない娘のためにポーカーで金を工面したり、ジャネットが書いてきた記事をすべてファイリングしてあったり、それで許せてしまうのは僕はまだ青いのかな

「私はパパに似てる…それで十分」
「私って、本当に恵まれてるんだなって」

ふと振り返ってみると、辛かったはずの記憶が素敵に見えたりする
父が謳ってきたガラスの城は無いけれど一瞬でも楽しい時間をくれた
観た後、周りの愛を感じれる、僕好みの作品でした
銀城蘇芳

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