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ちょっと今から仕事やめてくるのyoucanのレビュー・感想・評価

4.3
【疲れてる人、必見!!】

是非オススメですね。ブラック企業に勤めている方こそ見てほしい作品です。しかし、この映画を見る余裕が生まれないからこそブラック企業、なのでしょうが、、、。

そんな方のために、めっちゃ分かりやすくレビューします。一言でいえば、次のようになるでしょう。

「ブラック企業辞めて、本当によかった~~~ッ!!><」

以上です。この映画はこれ以上でも、これ以下でもありません。終始優しい助っ人が、ブラック企業辞めろと伝えてきます。そして主人公は長い葛藤の末、仕事を辞める。失いかけていた人生を取り戻す。


簡略化すれば、以上のようなレビューになるでしょう。ですが、そんな簡略化だけじゃすまない熱いメッセージがこの映画にはありまして、私もウルッときました。
もともと原作は小説で、私はこの作品が映画化するより前に原作を読破していました。ラストまで一気に読み、「あー面白かったな」と思ったのを覚えています。映画は少しラストが違って、私は原作の方がラストは好きでしたが、映画ならではの「ブラック企業」の日常のシーンは原作よりもエグくて、働いている人には結構くるものがある映像になっていたのが高評価ポイントです。

「ちょっと、今から仕事やめてくる」はシーンが2つに分かれていて、
主人公こと青山隆がブラック企業で働き詰められまくるシーンと、山本と一緒に心のリフレッシュを図るシーン。この緩急が実に絶妙な塩梅になっていて、青山が詰められまくって精神的にキツいものを感じるや否や、お助けキャラの山本が優しい言葉や態度で青山を救ってくれる。映画時間は約2時間と長いのに「あっという間に終わってしまった」と感じる理由はこの2つを上手に描いているからでしょうね。

しかしまあブラック企業のシーンは本当、凄い。社訓を読み上げるところや、罰金や土下座を強要して洗脳してしまうところは、本当にこんな会社あるんかいなと思ってしまうほどです。きっと、あるんだろうなあ。むしろここよりひどいところも現実にはあるんだろう。。

主人公もとっとと辞めればいいのに、と思うのは簡単です。しかし主人公はなかなか辞めない。この葛藤もよく描いている。本物の社会人の意見を参考にしているなと正直思いました。原作の方がより葛藤具合が複雑で好きでしたが、まあ映画のラストと原作のラストは違うのでそこは割愛。

母親と話し合うシーンも良かった。これもまた親心が非常にリアルで、実家に帰ってきてほしい、声を聴きたいと思う親の気持ちをうまく表現している。一言一言の隆とのやり取りが緻密なまでに構成されていて、個人的には凄く好きなシーンでした。

「死ぬぐらいなら、仕事辞めちまえ」
「その仕事だけが全てじゃない」
世間が正しいと思うレールにだけ焦点が合っている人間は、心を病んだ時に本当に死を選びかねない。日本人の死因、1位は病気ではなく自殺。だからこそ心が病んでいる、病みかかっている人間にこそゆっくりこの映画を見てほしいなと思います。

現実に山本はいませんが、この映画のメッセージは「ブラック企業を辞めろ」ではなく、それはあくまで副産物で、山本の存在そのものです。山本の言葉一つ一つが見ている人間に何かしらのプラスに働けば、という意図を感じました。傍に山本がいないからこそ、この映画こそが「山本」になる。だからこそ山本の台詞の「相手に寄り添う」が主人公青山の心を揺り動かしたのでしょう。


疲れている人間にこそ必見です!笑
オススメ!
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