もと

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのもとのレビュー・感想・評価

3.9
東京という排他的な都市に嫌悪感や生きづらさを抱きながら生きる二人が出会い、恋に落ちるラブストーリー。

昼は看護師として働き、夜はガールズバーで働く主人公、美香と、日雇いの現場作業員として働きながら、ひたむきに生きる主人公、慎二、東京という町に嫌悪感を抱いて生きる二人が主人公の作品。
この作品は、一見ぶっきらぼうな作品だが、社会的に、決して勝者と言えない者にそっと寄り添い、その人自身を肯定してくれるような優しさを感じさせる。
未来に不安を抱き、それでも前向きに歩み続けるしかない。
その象徴的なシーンが、ラストの二人で小さな幸せを見つけられるシーンだ。一人ではネガティブにひねくれた考え方しかできなかった二人が、二人で一緒にいる時間は日常のちょっとした幸せを見出すことができるようになったという象徴的なシーンだった。
個人的に好きなシーンは、売れないストリートミュージシャンが大成したということを示唆するシーン。
未来に夢も希望もない二人と対照的に、夢を追い続けたストリートミュージシャンが成功をつかみ取ったという事実を目の当たりにする姿は、衝撃的で、ふと涙を誘う。

この作品の原作は、どうやら詩集のようで、作中に詩のような台詞がよく出てくる。
個人的には、印象的な台詞はありつつも、その言わんとしていることがよく分からないシーンもあり、その点はやや不満要素であった。
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