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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのkotoのレビュー・感想・評価

3.9


こんな泥臭いまでに不器用な
映画が最近あっただろうか

" ずっと喋ってないと不安なんでしょ "
って言葉が 自分にも重なって
痛かった。
本当の自分を見せるのが怖かったり、
空っぽで 自信の無い自分を
良く見せたかったり。
途中にヒロインが元彼と会った時の
反応が最初のこの台詞にかかってくる。

台詞やストーリーやキャラ
どれもが芝居がかっていて臭い。
でもある意味 このわざとらしいくらいの
青さが タイトルに合ってる。

何をすれば良いのかわからなくて
今が不安 でも惰性で
何と無く今を生きる、
そんな若者に池松くんは
やっぱりピッタリ。

工事現場でその日暮らしを続ける って
こういう映画だとよくある
(苦役列車や ケンタとジュンとカヨちゃんの国 を思い出した。)
女は水商売 みたいなのもありがちだけど
いちばん "底辺" の生活を
表しやすいのかなって。

どこにも居場所がなかった"東京" を
出逢ったことによって
いろんな思い出で 不器用なりにも
埋めていく感じが良かった。

渋谷 新宿 実際の都会の街並みを舞台に
ぐるぐる 走る 回る すれ違う。

" 早く会いたいから! "って
都会の街中を全力で走って
会いにいけるくらい、好きな人って
皆 現実にいるのかな?って
考えてしまって、眩しく感じた。


" 都会を好きになった瞬間
自殺した様な物だよ"
都会 じゃなくて、都会にいる だれか や
なにか を好きになれたら
きっと死なないで光れるのかな。

全体的に 学生舞台の様な
未熟さ、青さが全面的に強くて、
映画 というよりは
イメージビデオに
近い感じではあったけど

原作の最果タヒさんの詩集が
好きで 集めていて、
タヒさんの抽象的で曖昧な詩を
実際に現実に落とし込んで
青臭いまでに 原作を尊重して
描ききっているのは 好きだった。

見ていて恥ずかしいほどに不器用な
二人や、出てくる登場人物たち 皆に
心から幸せになってほしい、
居場所がどうか見つかります様に。
って 願いたくなる映画。
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