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一晩中のkeikeiのレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
3.8
アケルマンの映画を初めて観た。
夜の帳が下りる少し手前か、どのシーンにも統一されたようなブルーがなんとも言えず美しい。
万年筆のインクのようなくすみがかったブルーの中に、様々なカップルが織りなす一晩の出来事が、コラージュのように貼り合わされている。

セリフが僅かしかない静かな夜かと思えば、激しい動きのダンスが繰り広げられたり、どれだけのカップルが登場しただろうかと数えたくなるほどの長い夜が開けてエンドかと思えば、夜明けからもシーンは続き、予測出来ないところもある。
かと言って、退屈かというとそうでもない、
夜の部屋の窓から漏れる灯りの中を、覗き見るような好奇心から見入ってしまった。

雷のシーンが好きだ。
ありえない程の音量の雷。雷光に照らされた室内のブルーのグラデーションと、窓の外の道路を舞う落ち葉ではない大量の紙?きっとあの街は街頭ポスターが沢山貼られた街なんだろうなと、昼間の風景を思いながら見ていた。
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