前作の勢い冷めやらぬまま鑑賞。前作と対照的に、荒木広報部長が取り上げられるのはほんの一握りで、今作の中心は各地での抑圧された現実。
前作同様、集団心理の恐ろしさが一貫して描かれる。特に地域住民との対峙の構造が、前作よりも解像度高く明確に描かれる。時と場所を超え、映し出される数々の現実が重くのしかかる。いつの時代かわからない、デモ行進にシュプレヒコール、立て看板の数々には、否定こそできないものの辟易とする。
一方、数少なくはあるが融和が見られる光景が心に刺さる。考え方こそ違うにしても、一人の人と人。時の経過と対話の積み重ねで、心の距離は縮まるという真実。マスコミが決して映し出さない、世界の数々は貴重。同級生とのシーン、アーチャリーの一般人としての姿も印象的。
逆に、教団の弱さや奇怪さも、今作は敢えて強調して映し出す。疲れ切った荒木氏の姿、ヘッドギアシーン。河野家での体たらくも、目を見張る。水を吐く修行シーンに敢えて自身を登場させ、目を背けさせるのは、監督の意思が表現されすぎて鼻につく。
右翼団体の内部が映し出されるのは、現地での対話に入る後半こそ良いものの、関係のない部分も含まれ、不要な悪意が見て取れるのは残念。
ただ最新作まで一貫するのは、マスコミの不正義。
統一教会絡みしかりジャニーズしかり、現代まで偏向報道があるのだと思わざるをえない。
