「プロレスはレスリングじゃない。」という一言から始まる本作は、脚本家マックス・ランディスによる「酔っ払って話した内容にあわせて映画を撮る」企画第2弾。 マックスは20代でクロニクルの脚本を売り、製作にまでこぎつけ、2015年には監督作を含む4本の作品を製作、更に今年は製作・脚本を手掛けたドラマ、ダーク・ジェントリーが放送開始されるというとてつもないキャリアを既に築いている人です。しかし本作に主演したクロエ・ダイクストラ(視覚効果マン、ジョン・ダイクストラの娘でマックスの友人)曰く、「馬鹿にならない脚本料を稼いでるくせに、家は安アパートで愛車はボロい日本車」というぐらいお金を使いません。 ではその脚本料はどこに使われるのか。こういうショートフィルムに使われます。マックスのハリウッド人脈とクロニクル・マネーを駆使して製作された本作には、デビッド・アークエット、マコーレイ・カルキン、セス・グリーン、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ダレン・クリスなどのハリウッド俳優が出演しています。前作The Death and Return of Supermanと違い、有名人はみんな大したことをしないので、完全にスターの無駄遣いです。
さて前作では、スーパーマンを殺して90年代半ばに大騒ぎになったThe Death and Return of Supermanをベースに、イライジャ・ウッドを始めとするスターが馬鹿騒ぎを繰り広げながら「アメコミにおける死」を紐解きましたが、本作で語られるのはもっとポジティブな話題、「プロレスへの愛」です。 プロレスに興味がない人間にとって、プロレスは「本物」ではありません。スポーツ興行と銘打ちながら、行っているのはショーであり、台本に従って試合が行われるからです。 ですが、マックス曰く、「プロレスはMMAよりもゲーム・オブ・スローンズとの方が共通点が多い。」つまりある1人の人物を主人公として観ると、プロレスは大河ドラマと化すのです。そこで本作はトリプルHを主人公としてプロレスをドラマとして紐解いていきます。 酔っ払いマックスの与太話にあわせて、ドラマが進んでいくわけですが、本作に登場するレスラーはみんな可愛い女の子です。クロエ演じるトリプルHを始め、ロック様もバティスタもリック・フレアもジョン・シーナもストーンコールドもみんな可愛い女の子なのです。ただしチャイナは何故かマッチョのおっさん。